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結果の出ない五十幡を起用する理由。我慢しながら打線を育てる、新庄監督の思い【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#197】

オープン戦で好調だった五十幡は開幕して一変、打率低迷で苦しい日々を送っている。様々なファンの声がある中で、新庄監督はこれからを見据えた起用を続けている。

2023/04/16

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産経新聞社



競り勝つためにも求められる五十幡の出塁

 14日の西武1回戦(エスコンフィールド)、8回裏2死1塁の場面、五十幡亮汰のレフト前の当たりがポテンヒットになった。やっとHのランプがついた。塁上で五十幡はホッとした表情を浮かべる。試合の流れで言えば、次の矢澤宏太が三振でチェンジになったから得点には結びつかなかったヒットだ。5対2の勝利試合のヒーローはあくまで「100球完投勝利」の加藤貴之であり、「エスコン、チーム初本塁打」の野村佑希だった。
 
 それでも僕は五十幡の嬉しそうな顔を忘れることができない。よかったなぁと思う。打撃不振にあえいでいた五十幡にとって、ヒットは最高の良薬だ。今日は勝ちゲームの勢いに乗っけてもらって、最終打席でヒットが打てた。4回には追加点のスクイズも決めているから、仕事ができた充実感を味わっているだろう。次は自分がチームに勢いをもたらして、みんなを助ける役にまわればいい。野球チームはそういうものだ。打撃好調の選手は不調の選手をカバーし、乗せてやる。活発な打線は投手陣を勝たせて、育ててやる。逆に投手陣がガマンして、打てない打線(≒打てない打者)を育てることもある。
 
 五十幡は新庄剛志監督が今季のキーマンに挙げた選手だ。開幕前のオンライン会見で「センターの五十幡君が塁に出てどれだけ走ってくれるかがキーになる」と、守備位置込みで明言している。「1番センター五十幡」が確約されたようなものだった。オープン戦も13試合39打数12安打、打率.308、9得点、5盗塁と好調だった。まさか開幕して打率1割そこそこに低迷するとは…。
 
 開幕後、ファイターズは打線がなかなか目覚めなかった。バカスカ点が取れれば楽なのだが(そういう試合もあった)、点が取れないときは足でかきまわしたり、進塁打やバントで1点をもぎとる野球が必要になる。そうすると五十幡の出塁が求められるのだ。どんな韋駄天だって塁に出なければ、盗塁も長駆ホームインもできない。ファイターズは競り負ける試合が多かった。競り負けるのは「1点をもぎとる野球」ができないことと、四球やエラーがらみで試合を壊してしまうことの、両方の原因がある。

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