2014年の阪神を振り返る~補強の成功、9月の踏ん張り、そしてソフトバンクとの差
2014年、阪神は初めてクライマックスシリーズを突破し、セリーグ2位から日本シリーズ進出を果たした。特にファイナルステージでの対巨人4連勝は圧巻。溜飲を下げた虎ファンも多かったはずだ。しかし、日本シリーズでは福岡ソフトバンクを相手に1勝4敗と、力の差を見せつけられてシーズンを終えた。球団創立80周年を迎える来季は、リーグ優勝と日本一が至上命題となる。
2014/11/10
〝アタリ〟だった呉昇桓とゴメス
メッセンジャーは最多勝(13勝)と奪三振王(226個)の2冠、呉昇桓はセーブ王(39セーブ)、マートンは初の首位打者(.338)、ゴメスは打点王と、助っ人全員がタイトルを獲得した。同一球団に在籍する外国人選手がそろってこのような活躍を見せるのは、異例中の異例といえる。
そもそも、外国人選手が〝アタリ〟のこと自体が少ない。だから、星野仙一前楽天監督は「外国人選手獲得は宝クジを買うようなもの」とよく言っていたのだが、呉昇桓とゴメスが〝ハズレ〟だったら、今年の阪神はどうなっていただろうか。
阪神にとって、メッセンジャーとマートンは過去4年の実績から計算できる選手だった。未知数なのは新加入の2人。韓国で277セーブを挙げた呉昇桓とて、日本で通用する保証はない。
ましてゴメスは、メジャーでの試合出場わずか37試合。2月のキャンプは長女の誕生などで来日が遅れ、合流したと思ったら、体調不良や足の張りを訴えて練習、オープン戦を回避した。初実戦は3月中旬。オープン戦の結果も芳しくなく、ファンの誰もが〝ハズレ〟を覚悟したものだ。
しかし、巨人との開幕カードで4安打4打点の活躍を見せると、周囲の見る目が一気に変わった。ゴメス獲得に携わった球団関係者は、「東京ドームの初戦でヒットが出たのが、彼にとって大きかった」と話す。
その後もゴメスは長期の打撃不振に陥ることなく、打率.283、26本塁打、109打点をマークした。四番としては本塁打数がやや物足りないが、虎の新助っ人としては、あのバースでさえできなかった100打点超えを果たしたのだから、十分〝アタリ〟の評価ができる。
一方の呉昇桓も64試合に登板して2勝4敗39セーブ、防御率1.76の数字で期待に応えた。本人は「失敗の数が多かった。もったいない1年」と振り返ったが、藤川球児がメジャーへ行き、守護神不在に泣いた昨季を思えば、本当に心強い存在だった。
四番と守護神――昨季からの大きな課題を新助っ人2人がクリアしてくれたことで、同じ2位でも昨年とはイメージの違う2位になったはずだ。首位・巨人とのゲーム差はわずかながら縮まったし(12.5→7)、昨年10勝18敗2分けと大きく負け越した9月以降の成績も、今年は13勝13敗だった。
9月5日の中日戦から11日の巨人戦まで、2カード連続で3タテを食らったことを思えば、よく立て直したといえる。12日以降11試合あった勝ちゲームのうち、ゴメスは3試合でお立ち台に上がり、呉昇桓は8試合に投げて6セーブをマークした。やはり、〝アタリ〟の2人がいなければ、シーズン最終盤の踏ん張りはなかったのである。