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2014年の阪神を振り返る~補強の成功、9月の踏ん張り、そしてソフトバンクとの差

2014年、阪神は初めてクライマックスシリーズを突破し、セリーグ2位から日本シリーズ進出を果たした。特にファイナルステージでの対巨人4連勝は圧巻。溜飲を下げた虎ファンも多かったはずだ。しかし、日本シリーズでは福岡ソフトバンクを相手に1勝4敗と、力の差を見せつけられてシーズンを終えた。球団創立80周年を迎える来季は、リーグ優勝と日本一が至上命題となる。

2014/11/10

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来季はリーグ優勝と日本一が至上命題

 日本人選手では、福留孝介が9月中旬以降の反攻をけん引した。今年は開幕直後の3月30日、巨人戦の守備で西岡剛と激突。救急搬送され長期離脱した西岡に対して、福留は一軍でプレーを続けたが、打率は1割台と低迷した。ファーム降格を経て再昇格したのちも、復調の兆しはなかなか見られず。
 
 そんな福留の起用については批判の声もあったが、和田豊監督は信念を貫いた。守備力の高さと経験値、ここぞの場面での勝負強さを買ってのことだ。たしかに打撃での貢献は少なかったかもしれないけれど、その守備が何度、チームを救ったことか。37歳の福留を超える選手が存在しなかった、というのは悲しい現実なのだが……。
 
 福留は9月に入ると打撃の状態が急上昇し、9・10月は打率.375、4本塁打、13打点をマークした。試合を決める一打が多く、12日以降の勝ち試合でお立ち台に上がった回数は、先に記したゴメスを超える4度もあった。
 
 そのほかにも、今年は西岡に代わって二塁に入った上本博紀が、初めてほぼフルシーズンを戦い抜き、中堅・大和は念願のゴールデングラブ賞を獲得。ルーキー・梅野隆太郎が捕手ではチーム最多となる92試合に先発出場すれば、3年目の伊藤隼太は自己最多の52試合に出場して打率.294、2本塁打、12打点と飛躍のきっかけをつかんだ。若手野手の台頭が少ないといわれてきた阪神だが、徐々に芽は出始めている。
 
 だからこそ、来季が重要なのだ。和田監督は「シーズン中は勝負どころで重くなったり、硬くなったりしていたのが、CSでは躍動感があった。勝ったことはもちろん、選手たちがグラウンドで暴れ回っていたことがうれしかった。殻をひとつ破れたかな」とチームの成長を評価したが、レギュラーシーズンでは首位・巨人と7ゲーム差の2位だったことを忘れてはいけない。もちろん、日本シリーズで1勝しかできなかったことも。
 
 ソフトバンクとの差は主に守備、走塁面に表れた。阪神は5試合で失策1だったが、そのほかバッテリーエラーが3、野選3と守備のミスを連発。一方のソフトバンクはいずれもゼロだった。
 
 また、走塁を生かした得点ができなかった阪神に対して、ソフトバンクは第3戦の4回、二塁走者の吉村裕基がワイルドピッチの間に一気に本塁へ生還したり、6回には俊足・明石健志が西岡の野選を誘って得点に結び付けたり。明石は第4戦の延長10回にも捕手・藤井彰人の野選を呼んで、中村晃のサヨナラ3ランへとつなげた。細かいことかもしれないが、力の差は歴然だったといわざるを得ない。
 
 阪神は来季、球団創設80周年を迎える。節目の年の至上命題はリーグ優勝と日本一。成し遂げるためには何が必要か。それがはっきりした日本シリーズでもあった。

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