「MLB球団からも警戒されるように…」ソフトバンク中南米スカウトが語る独自スカウティング。“金の卵”を発掘できる理由とは?
2023/05/29
産経新聞社
「彼は16歳になる前にどうしても獲得したかった」
「昨年もドミニカを拠点に、キューバ、メキシコなどでスカウティング活動を行ってきました。そして2人のドミニカ人育成選手を獲得しました。まず、昨年5月に契約した投手のルイス・ロドリゲス(21)ですが、彼は1年ほど野球から離れて家業の農業を手伝っていたという変わった経歴の持ち主です。力強いストレートに惚れ込みました。そもそも投手経験も少なく、肩の消耗が少ない。そして、キチンとした指導も受けていないという意味では伸びしろしかありません。
そして12月には外野手のホセ・オスーナ(16)と契約を交わしました。オスーナ家は野球一家として有名で、2020年のMLBナショナルリーグ本塁打王のマルセル・オスーナ、2005年のシカゴ・ホワイトソックスのワールドシリーズ制覇時のメンバーだったパブロ・オスーナはいとこにあたります。13歳から彼を見続けて、30回以上は視察に行きました。
素晴らしい才能を持った選手です。契約時は15歳でしたが、MLB球団は16歳未満の選手とは契約できないので、オスーナが16歳になる前にどうしても獲得したかったということで素早い決断が必要でした。日本でいえば高校1年生にあたる時点での獲得ですが、ドミニカと日本では社会背景、教育システムが違いますし、プロを目指す子が学業を諦めることは珍しいことではありません。彼の両親、そしてオスーナ自身も学校で勉強を続けるよりも日本行きを選択してくれたので、MLBに先駆けて獲得することができました。