千葉ロッテ古谷、ホークスキラーとしての期待。異色の理系投手がこだわる「脱力投法」で脱・里崎なるか【ほぼ月刊マリーンズ#12】
QVCマリンフィールドに新ビジョンもお目見えして、オープン戦もいよいよたけなわとなってきた今回は、6日のバファローズ戦で好投した投手最年長・古谷拓哉をフィーチャー。残るローテ枠入りに向けてアピールを続けるベテラン左腕の肉声をお届けしよう。
2016/03/09
“ホークスキラー”としての覚醒もカギに
ちなみに、昨季こそ直接対決はなかったものの、13年は3試合に先発して2勝0敗、防御率1.83。トータルでは23試合7勝5敗、防御率4.35と平凡な数字に終わった翌14年シーズンも、3試合で2勝0敗、防御率1.61と、ことホークス戦に関しては“キラー”と呼んでもいいほど相性のよさを発揮しているのが、古谷というピッチャーの特徴でもある。
「僕がホークスキラー? そんなこと誰が言ってるんですか(笑)。でも、これまではそんなに意識したことはなかったけど、今年に関して言えば、個人的にも倒したいって気持ちはすごくありますよ。2連覇するほどのあれだけ強いチームを抑えられたら、そりゃ気持ちいいですしね」
「アホか」と言われることを承知で、対ホークス戦のそろばんを弾くなら、昨季の10勝15敗から、古谷が最低でも挙げてくれるであろう2勝と、いまや味方の“マリーンズキラー”ジェイソン・スタンリッジが挙げた4勝を差し引きすれば、たちまち形成は逆転。16勝9敗という皮算用も成りたってくる(左腕に弱いマリーンズが、メジャー帰りの和田毅にカモにされたりする可能性は、ここでは度外視)。そういった、ファンには楽しい「もしも」を思い描くだけでも、彼の存在は今季のマリーンズの戦いをおもしろくするキーマンたり得ると思うのだ。
経験豊富な先輩として、上からモノが言えた里崎氏のような「有無を言わさないリード」を、まだ若い田村龍弘や吉田裕太に求めるのは酷というもの。それが実戦の皮膚感覚を通してしか磨くことのできないものである以上、シーズンが始まっても彼の試行錯誤は続くだろう。だがそれでも、僕らはやっぱり苦節11年目にして彼が咲かせる“もうひと花”を待ちわびる。
「気持ち的には、つねに咲かすつもりではいるんですけどね(笑)。もう僕もいい歳なんで、いつまでも同じことをやっていてもしょうがない。今年こそはファンのみなさんにいいところを見せられるように、がんばりすぎずにがんばります」
異色の理系男子として、ネットでは“館長”の呼び名でも愛される古谷拓哉が迎える新たなシーズン。34歳のベテランが「がんばりすぎない」脱力投法で魅せる完全復活と、ひそかな“ホークスキラー”ぶりに期待したい──。