阪神・村上頌樹を支えるストレート。コントロールで重要なのは前足の踏み込み 【工藤公康の眼】
今年3月に『プロフェッショナル投手育成メソッド 一流選手へ導く“投球メカニズムとトレーニング”』を出版した工藤公康氏。交流戦が終わり熱い夏を迎える中、編集部が気になる選手や話題について、工藤氏に現場で選手やコーチに伝えてきた指導メソッドの視点も織り交ぜながら語ってもらった。
2023/06/29
産経新聞社
前足の踏み込みの安定が重要
なぜ、村上投手のコントロールが安定しているのか。
ひとつ考えられるのは、前足の踏み込みがずれていないことだと推測できます。コントロールがいいピッチャーに共通しているのは、腕を振り切るところまで、前足がピタッと止まり、土台となる下半身が安定していることです。
『プロフェッショナル投手育成メソッド』の中でも詳しく解説したことですが、踏み込み足の着地は、コマの回転軸とよく似た働きをしています。コマは中心の軸が安定していることで、強く速く回ることができるわけです。投球フォームにも同様のことが言え、踏み出し足が安定することでそこに軸が生まれ、踏み出し足の股関節を基点にして、スムーズな回旋運動が引き起こされていきます。
踏み込み足が不安定になると、並進運動の勢いやねじれの連動が使えず、ねじれができない分、体の開きも早くなるのは想像できることでしょう。その結果、上体でコントロールしようとして、リリースポイントが不安定になりやすいのです。