「練習嫌い」返上?「第2のバーネット」になれるか?23年ぶりのセ連覇へ、ヤクルト投打のキーマンは外国人【新・燕軍戦記#21】
畠山和洋、川端慎吾と2人の主力打者を欠きながらも、オープン戦ここ6試合で5勝1敗と好調な東京ヤクルトスワローズ。23年ぶりのリーグ連覇に向け、投打のカギを握るのは……。
2016/03/11
「練習嫌い」返上? 今年にかけるバレンティン
プロ野球開幕まであと2週間。1992、93年以来のセリーグ連覇を目指すヤクルトはここまで、まずまずの調整を続けている。オープン戦の出だしこそ5連敗とつまづいたものの、その後の6試合は5勝1敗。2年連続最下位からの巻き返しを期していた昨年とは違い、真中満監督はオープン戦の勝敗は「まったく気にしていない」というが、連敗中は湿りっぱなしだった打線に当たりが出だしたのは心強いはずだ。
昨年はいずれもリーグトップのチーム打率.257、574得点(1試合平均4.01得点)をマークした強力打線は現在、キャンプで腰を痛めた昨年の打点王・畠山和洋と、オープン戦序盤でインフルエンザを発症した昨年の首位打者・川端慎吾を欠いたまま。しかし、どちらも開幕には十分間に合うものと見られており、昨年の本塁打王でMVPにも輝いた山田哲人と共に、今年も彼らが打線の中心になるだろう。
さらにそこにもう1人、今年は強力な大砲が加わる。故障のため、昨シーズンの大半を棒に振ったウラディミール・バレンティン(31歳)だ。ヤクルト入りした11年から3年連続でセリーグ本塁打王となり、13年には日本新記録の60本塁打を放った「キング」も、昨年は左アキレス腱手術のリハビリで春季キャンプには参加せず、ファームでの調整を経て4月下旬にようやく一軍復帰。ところが復帰戦で左太ももに肉離れを起こして再び離脱し、米国での手術、リハビリを経て再来日したのは、9月も半ばになってのことだった。
2度目の復帰初戦ではいきなりホームランを打って貫録を示したが、その後バットは鳴りを潜めた。公式戦15試合の出場で打率.186、代名詞の本塁打は前述の1本だけ。胴上げには間に合ったものの「優勝に貢献した」という実感は薄かった。
だからだろう。2月の沖縄・浦添キャンプで久しぶりに顔を合わせたバレンティンに今年の目標を聞くと、真っ先に返ってきたのはこんな答えだった。
「チャンピオンシップの一部になることだよ。優勝に貢献したいんだ」
キャンプには例年以上に引き締まった体で現れ、練習中も暇さえあれば室内練習場でマシン打撃に取り組むなど、およそこれまでの「練習嫌い」というイメージとはほど遠い姿を見せていた。もちろん今年が契約最終年ということもあるだろうが、何より「今年こそ自らのバットで優勝に貢献する!」という強い思いが感じられた。
山田、川端、畠山のタイトルホルダートリオがいるとはいえ、真中監督は「去年は3人ともすごく頑張りましたけど、毎年あれだけの数字を残すというのはなかなか厳しい。3人に頼り過ぎないように、チームとして機能していければと思います」と話す。その意味でも、今シーズンは新生・バレンティンが打線のカギを握る存在になりそうだ。