「練習嫌い」返上?「第2のバーネット」になれるか?23年ぶりのセ連覇へ、ヤクルト投打のキーマンは外国人【新・燕軍戦記#21】
畠山和洋、川端慎吾と2人の主力打者を欠きながらも、オープン戦ここ6試合で5勝1敗と好調な東京ヤクルトスワローズ。23年ぶりのリーグ連覇に向け、投打のカギを握るのは……。
2016/03/11
オンドルセクは「第2のバーネット」になるか?
打のカギを握るのがバレンティンなら、投のほうも外国人がキーマンになりそうな気配だ。今シーズンのヤクルト投手陣の最大の課題は、なんといっても「抑え」をどうするか。昨年は来日6年目を迎えていたトニー・バーネットが、球団新記録の41セーブをマークして2度目の最多セーブに輝いたが、長年の夢をかなえるために今季はメジャーリーグのテキサス・レンジャーズへと去ってしまった。
それでは、バーネットに代わる新守護神は誰になるのか? その答えはまだ正式には出ていない。
「まだ迷っている。オンドルセクが一番手候補なのは間違いないけど、周りとの兼ね合いでどうするか」
真中監督は2月末の時点でそう話していたが、昨年は来日1年目にしてリーグ最多タイの33ホールドを挙げたローガン・オンドルセク(31歳)が、今シーズンは『新守護神』を襲名する可能性が高い。
米国時代のオンドルセクは、メジャー通算281試合(すべて救援)でセーブはわずか2つ。マイナーでは09年にAA級とAAA級で計19セーブ(成功率90.5%)を挙げたことがあるが、通算199試合(救援164試合)で23セーブと、抑えの経験はほとんどない。それでも本人は「セットアッパーでも抑えでも、任されたところで投げるだけ。もちろんクローザーでも問題ない」と自信をのぞかせている。
思えば、ヤクルトは昨年も「守護神不在」の状態でシーズンを迎えようとしていた。もともと抑えのバーネットはその前の2年間は故障もあって精彩を欠き、首脳陣の信頼を失いかけていた。だが、来日したばかりのオンドルセクの状態がオープン戦でなかなか上がってこなかったこともあり、最終的にはバーネットを守護神に据えてシーズンに突入。これがズバリ当たった。
タイトルホルダートリオを軸とした強力打線のイメージが強いが、昨年の優勝はオーランド・ロマン(現台湾ラミゴ)、オンドルセク、バーネットの「ROBトリオ」を中心に秋吉亮、久古健太郎らが脇を固めたリリーフ陣の働きあってこそ。中でも抑えのバーネットがセーブ失敗わずか1度と、抜群の安定感を誇ったのが本当に大きかった。
来日1年目は主に先発だったバーネットは、2年目にはそれまで経験のなかった中継ぎに配置転換されると、3年目はこれも初体験の抑えを務めて最多セーブに輝き、昨年は絶対的な守護神としてチームを優勝に導いた。来日2年目にしてセットアッパーからクローザーに回るオンドルセクは、果たして「第2のバーネット」になれるか? 投のキーマンとして、こちらも注目したい。
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【目次】
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【第1章】「失速」2011年
【第2章】「執念」2012年
【第3章】「転落」2013年
【第4章】「失意」2014年
【第5章】「歓喜」2015年