球宴で大活躍の万波だけでは足りない! 後半戦の逆襲に欠かせない軸となるべき選手【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#204】
今年のオールスターで万波中正がMVPを獲得。これを自信に後半戦は前半戦以上のパワフルな打撃を見せてほしいが、万波だけではなく、元々主力として期待されている選手の活躍がなくして、チームの浮上にはつながらない。
2023/07/22
産経新聞社
F戦士、球宴で2年連続MVP
万波中正のオールスターでの活躍を見て、たぶんファイターズファンは全員、久々に野球でスカッとしたはずだ。第1戦(19日、バンテリンD)はヤクルト清水昇から「初出場・初打席」のライトポール直撃弾、第2戦(20日、マツダ)はDeNAバウアーが球種予告したスライダーをレフトスタンドに叩き込み、2ベースとのマルチで「パの4番」の重責を立派に果たし、MVPを獲得した。この2日間の働きで500万の賞金をゲットしたそうだ。ちなみにファイターズ勢は今回のオールスターで投打に渡って大活躍だった。松本剛は第1戦の決勝点を叩き出し、マルティネスは第2戦、2安打2打点で敢闘賞だ。まったくなぜこんな選手が揃っていながらファイターズは10連敗しているのか。
「オールスター男・万波中正」の記事はあらかた出尽くしたかと思う。新庄監督が「予告ホームラン」の指令を出していたとか、MVPは「獲るつもりでいました」(本人談)とか、見出しになりそうな話がゴロゴロある。まぁ、バウアーから打った2本目のホームランはセの捕手を務めた大城卓三(巨人)が直前、ファウルフライをわざと落として、打ち直しをさせてくれたおかげでもあるから、だいぶ下駄を履かせてもらってはいる。が、それでもMVP受賞インタビューの明るい笑顔とともに、万波のパワーヒッティングはみんなに覚えてもらえたと思うのだ。パの新星、万波中正は間違いなく全国区になった。
元々、オールスターというのはそういう場所だと思う。チームの人気者が全国区のスターになる登竜門。あるいは球界の先輩方に混じって「顔」をつくっていく場。オールスターで「顔」をつくるのだ。プロの世界は「顔が通じる」とか「顔が効く」みたいな言い方をすることがある。あくまで技術の修練、心身の鍛錬が前提にあっての話だが、プロは「顔」で仕事をするところがある。それは大舞台を踏まないと得られないものだ。万波は初出場であっぱれ、話題をさらった。持って生まれたスター性ということができるだろう。
これでファイターズは去年の清宮幸太郎に続いて2年連続オールスターのMVPを出していることになり、まさに前途洋々、楽しみしかない。オールスター明けの後半戦は万波のブレイクをきっかけに巻き返すこと疑いなし。後半戦の「台風の目」はファイターズだ。うまく行けばAクラスに浮上し、CSを勝ち上がって、日本シリーズ制覇も夢じゃない。
と、ホントにそうだろうか?
僕は正直なところ、まだ潮目の変化を感じられずにいる。オールスターで活躍した万波、マルティネスが打線の核になるのだと思うが、よほど打ちまくってくれないと「天下を獲るチーム」の主軸にはなり得ない。