「亡き父へ一軍での勇姿を」ロッテ・香月一也、ネックレスに込めた誓い
プロ野球はすでに二軍の公式戦が開幕している。千葉ロッテ・プロ2年目の香月一也は目標としている一軍昇格に向けて、バットでアピールを続けている。
2016/03/23
千葉ロッテマリーンズ広報
父に一軍でプレーする姿を見せられなかった悔しさ
父にプロ野球の世界で頑張っている姿をなんとか見せたい。春季キャンプは二軍スタートながら必死にアピールを繰り返した。プロのユニホーム姿を見せることができたのは2回だけ。昨年8月、東京ドームで行われたイースタンリーグ・巨人戦と10月、宮崎で行われたフェニックスリーグ。どちらも結果を出すことはできなかった。今度こそ、なんとかいいところを見せたい。その一心で練習を繰り返している矢先だった。
「本当に、ちょっとでいいから一軍でプレーをしている姿を見せたかった。とにかく一軍に行きたかった」
父に勇姿を見せることができなかったことを悔やみ、落ち込む香月を家族が励ました。「休んだらアカン。切り替えて頑張りなさい」。一番、辛いはずの母が背中を押した。だから亡くなった3日後の8日にはチームに再合流した。
「みんな心配をしてくれました。『頑張れよ』とか、『もう少し残っていても良かったんだぞ』とか。そう言ってもらえると、また涙が出そうになった。今はもう、とにかくアピールをして、今年絶対に一軍に上がりたいと思っています」
そう言って、胸につけているネックレスをちょっと微笑みながら触った。キャンプに戻る前、父が大事にしていた結婚指輪を母から譲り受けた。 「オレにちょうだい」とお願いをした。そしてネックレスに取り付けた。いつも父に見てもらいたい。だから今、普段も、プレー中も肩身離さず、付けている。
「自分が家族の中で一番、実家から離れる。いつも父は見守ってくれていると信じている。絶対に見てくれている。そのことを感じるために、もらいました。だから僕は頑張って一軍に上がらないといけない」
3月に行われた教育リーグでは5試合で15打数7安打3本塁打と打ちまくった。イースタンリーグ開幕後も三塁のレギュラーとしてアピールを続けている。今はまだガムシャラな日々。ただ、その先に必ず一軍の舞台が待っていると信じている。そこで初ヒット、初本塁打を打って、どこかで見守るってくれているであろう父に捧げたい。
苦しい時、辛い時、悲しい時、怠けたくなる時。いろいろな時がある。そんな時は父の指輪をギュッと握りしめる。すると不思議と前向きな気持ちを取り戻せる。香月一也、19歳。一軍を目指す日々に明け暮れる。