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野球歴3年足らずで最速130キロ超。日本ハム・上沢直之の中学時代は「自分の限界を決めつけなかった」(インタビュー後編)

2023/08/17

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産経新聞社



上沢直之(北海道日本ハムファイターズ) インタビュー

 日本ハムの主戦投手として、2022年まで61勝を挙げた上沢直之投手。小学生のときはサッカー少年で、本格的に野球を始めたのは千葉・松戸市立第一中に入学してからという経歴を持つ。そこから野球歴6年でドラフト指名を受けた。上沢投手に原点となる中学時代を振り返ってもらった『新時代の中学野球部』より、インタビュー記事を一部抜粋で公開する。(後編)

 

 

中学時代から「プロになれるもの」と思っていた

― 中学時代に、「おれ、プロに行けるかも」と思ったことはありますか。
 
上沢 「行けるかも」というより、野球をやる子どもって、最初は「プロ野球選手になれる!」というところから始めますよね。それの延長でやっていたので、「プロになれるもの」と思っていました。
 
― たしかに小さい頃、根拠のない自信がありますね。
 
上沢 おそらく野球を始めた頃の気持ちが、ずっと変わらずに続いていただけです。リアルに大きな挫折があれば、考え直すんでしょうけど、そういうのもなかったので。中学から野球を始めて、3年のときはストレートの最速が130キロを超えるようになって、松戸市選抜にも選んでもらえました。学校でも選抜でもエースではなかったですけど、中学でこれだけ球速が伸びれば、高校では150キロは出るかなと、自分の伸び代に期待していたところもあります。
 

 
― 松戸市選抜では、驚くことに宇佐見真吾選手(取材時・日本ハム/2023年6月から中日に移籍)とバット引きをやっていたそうですね。
 
上沢 そうなんですよ、2人でバット引きです。
 
― 控えの2人がプロ野球選手になることを考えると面白いですね。
 
上沢 本当にそう思います。中学のときの実力は関係ないのかなって。今思うと、良い意味で想像力がなかったんだと思います。「プロはおれには無理だな」とか「ここが自分の限界かな」と決めつけなかったことが、自分の成長につながったと思います。まだ知識もなかったので、「こういう選手がプロになる」というのもわかっていなかったんです。
 
― 中学から野球を始めた強みかもしれませんね。
 
上沢 そうなのかもしれません。
 
― 中学時代で覚えている試合はありますか。
 
上沢 あります。たしか松戸市選抜で、勝ったら関東大会に行ける大事な試合。1アウト三塁のピンチで、周りから、「ピッチャーゴロがきたら、ホームだぞ!」と言われていました。そこで三振を取って、2アウト三塁になってから、ぼくのところにゴロが飛んできたんです。「あ、ピッチャーゴロはホームに投げなきゃ」と思っていたので、すぐにホームに送球。でも、キャッチャーはまったく準備していなくて、頭が混乱したまま一塁に悪送球をして、その1点で負けました。ぼくは言われたままに、ホームに投げただけなのに(笑)。
― 2アウト三塁でピッチャーゴロなら、ファーストですね。
 
― 2アウト三塁でピッチャーゴロなら、ファーストですね。
 
上沢 まだ、ルールがよくわかっていなかったんですよね。今でも当時の仲間には、「お前のせいで負けた」と突っ込まれます。

【書籍情報】

『新時代の中学野球部
勝利と育成の両立を目指す名将の指導論』
大利実 著
定価:1,980円(本体1,800円+税)


 
「効率化」「初心者指導」「合同チーム」「部員減」
部活動の悩み・難題について指導現場での解決策を指南
 
部活動ガイドラインの導入によって、以前に比べて活動時間が短くなっている中学野球部。
現場には多くの課題があり、日々指導者が悩みながら生徒たちと向き合っている。
 
劇的に環境が変化する部活動において、勝利と育成の両立を目指す名将の指導法や解決策を紹介。

 

 
【了】



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