野球賭博と円陣での「声出し」で起きた金銭授受――刑法と野球協約での“罪”の重さの違いは?
プロ野球が25日開幕した。野球賭博や各球団の金銭授受が明らかになり、プロ野球界に対して世間から厳しい眼が向けられている。
2016/03/29
刑法と野球協約で異なる「野球賭博」の概念
野球協約に違反する野球賭博に関与したとして、昨秋、元巨人の3選手である笠原将生、福田聡志、松本竜也がNPBから「無期失格」処分を受けた。
しかし、同じく野球賭博に関与していた高木京介に関しては「1年間の失格処分」とされ、無期失格の3選手に比べて軽い処分となった。
その理由として、高木京介の賭博期間が3選手に比べ短かったこと、自ら賭博関係者との関係を絶ったことが挙げられたが、ファンの間では納得できないという疑問の声も多く聞こえた。
この処分は本当に妥当なのだろうか。法律上の観点から見て、刑法では一般的にどのような処分がくだされるのか。球界を騒がしている野球賭博に関する難題について「賭博罪」の問題に詳しい津田岳宏(つだたかひろ)弁護士に訊いた。
一般的な賭博罪は50万円以下の罰金
――まず一般的に「賭博罪」について、どういった処罰になるのでしょうか。
賭博罪につきましては、すごく軽くて50万円以下の罰金ですね。罪としては軽い部類になります。
――野球賭博は刑法では「賭博罪」に該当しないのでしょうか。
賭博罪にあたることは間違いないですね。ただ、そもそも(刑法を)適用するかどうかは適用する側の考えによるんです。(世間では)刑法上の問題と、野球協約上の問題を同じにしています。実際に刑法上で処罰が下されるかどうかというと、罪としては軽いので、おそらく検察や警察は動かないと思います。
――高木京介の場合、野球協約のうえでは処分が軽くなったことになります。では、賭博期間の長さで、刑法での処罰の度合は変わってくるのでしょうか。
刑法上(賭博を行っていた)量や、期間で多少変わりますね。罰金が「10万」か「20万」になるぐらいですね。
――野球協約上では高木京介の処分だけ軽くなりました。そのことについてどう思われますか?
法律的には(司法の手が及ばない)「部分社会」の法理なので、NPBの判断が優先されます。ただ(刑法においても)同じ罪を犯した人で量刑が違うというのはよくあることです。処分というのは個別の情状があるので、まったく同じということはありません。