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2023夏、中島と谷内が鎌スタにいる意味。ファームに必要な「野球のできるチームづくり」【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#208】

猛暑の夏、ファイターズのファーム本拠地・鎌ヶ谷の環境は過酷だ。その状況下での練習量、取り組み方、選手起用など総合的に考えるとチームの将来が不安になる。

2023/09/17

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産経新聞社



ファームのやり方はストーリーが描きにくい?

 僕は猛暑酷暑の鎌スタに中島卓也、谷内亮太がいる意味を考える。本当にきついだろうと思うのだ。2人に二遊間を組んでもらえば、試合はつくれる。だけど、2軍で試合をつくってもらって何になるのか。2人の力量はわかっている。モチベーションの維持が本当に難しかろうと思うのだ。1軍では二遊間が固定せず、野村佑希がセカンドを守ったりしている。自分が何のために、どういう意図をもって鎌スタにいるのか理解しにくいと思うのだ。
 
 一方で高卒組など、若い選手にとっても練習時間短縮の夏は「何のために、どういう意図をもって」ファームにいるのか理解しにくいところだ。これはファイターズだけの問題ではないが、本来ならもっと野球に打ち込める環境を整えてやりたい。
 
 この練習量やアプローチの仕方でファイターズの野球は大丈夫だろうかと思う。札幌ドームでファイターズが何度も優勝した時代、それを下支えしたのはファームだった。状況判断のできる「自分を持った子」「野球のできる子」「野球を知ってる子」が次々と供給された。大概気持ちの強い子だった。
 
 今はちょっとタイプが違ってしまった。素材型だ。能力は高い。だが、考えない。状況判断(準備)がなく、ストーリーがない。指示を待つ。
 
 今のファームのやり方はストーリーを描きにくいなと思う。早い話、ピッチャー起用だ。僕はGAORAで見て、いつも不思議だったのだが、ずーっとオープン戦みたいなのだ。先発を2イニングで代えたりする。あれはたぶん球数かイニングがあらかじめ決まっているのだ。オープン戦で「先発は3イニング、そこから2イニングずつリリーフ3人」みたいな起用があるじゃないか。試運転とか慣らし運転のイメージ。ああいう風なのだ。酷暑だからバテないようにそうしてるのかとも思ったが、どうもそういうやり方らしい。
 
 僕は選手がストーリーを描きにくいと思う。野球のストーリーは球数やイニング数じゃない。相手投手、相手打線、自分の調子等、様々な要素がからみ、グラウンドに立ちのぼってくるものだ。「状況判断」とは何もアウトカウントや走者のあるなしだけじゃなく、ストーリーの上に成り立つ、選手はそのストーリーを読むから、先回りして準備をしておく。このシチュエーションならここは要注意だな、ここは頭に入れておかなきゃな…。
 
 ピッチャーの例なら試合をつくる(ストーリーをつくる)投球ができなくては成長できない。「2イニング全力っす」だとストーリーが描けない。闘争心とイメージ力を持たなきゃプロで食っていけない。
 
 部品じゃダメなのだ。「7イニング投げるタフネスとイメージ力」、「完投できるタフネスとイメージ力」が要る。「勝ち負けにこだわらない」起用じゃダメだと思うなぁ。勝利を目指し、勝利へ向かうのがストーリーでしょ。
 
 野手も同じだ。イメージできてなくて、準備がない。あれじゃ野球を覚えないぞと心配になる。単に0対7の敗戦というだけじゃなく、ストーリーのない薄味の負け試合なのだった。
 
 で、そこに(あんなに野球のできる)中島と谷内がいるという、奇妙さというか無念さだ。こんなとこでこんな風に使ってもしょうがないけどなぁ。
 
 猛暑酷暑の鎌スタで考えたのは、ファームの建て直しだ。上は2年連続最下位でも、ファームがしっかりしてれば未来は明るい。下で「野球のできるチーム」をじっくりつくりたいなぁ。

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