デーブ新体制に欠かせない「足の演出家」―― 背番号23の復活を
大久保新体制となる2015年。チームの戦い方も抜本的に変わっていくと予想される。人心一新を機に、ファンが復活を待ち望む選手がいる。聖澤諒選手だ。
2014/11/19
デーブ野球で必要とされる背番号23の盗塁技術
大久保新監督に代わり、足で仕掛けるシーンが増えそうだ。
必然的に盗塁数の増加も期待できる。
チーム盗塁数は2年連続リーグ最少数を記録。今年は1試合平均の企図数は0.75、成功率は59.3%まで低下した。これは2005年の54.7%に次ぐ低い数字だった。
しかし、大久保監督が代行を務めた17試合では、企図数22、1試合平均1.29、成功率72.7%、足を絡ませた攻撃の形を作ることに成功していたのだ。
足を使うとなると、当然、経験豊富な背番号23も活きてくる。
過去3年分のチーム盗塁成績をまとめた。生還数は企図走者がその後に本塁生還した数で、生還率は生還数÷盗塁企図数としている。
盗塁の最大目的は、企図走者がその後ホームに生還することにある。
その意味で、ここ3年で最も生還率が高く、機能したといえるのは、聖沢が盗塁王を取った2012年だった。生還率はチーム全体で23.4%。聖沢は38.5%と極めて高かった。
俊足走者が塁に出れば、投手は盗塁を警戒し、ストレート主体の配球になり、カーブは投げづらくなる。打者は狙い球を絞りやすくなる。よく言われる野球界の定説だ。
ここ数年、私はほぼ全ての楽天戦、記録をつけながら観戦してきた。その観戦メモをもとに実際、相手投手の投球割合を調べたことがあった。
盗塁が機能した2012年と今年、走者なしと走者一塁時の速球とカーブの投球割合だ。
2012年、走者が塁に出ると、相手投手は警戒感を強めていたことがハッキリ確認できる。味方打者にとっては、相手投手が緩急をつけずらく、ストレート系が多くなる有利な状況で打席に立つことができた。
驚くことに聖沢が一走時は、その3分の2がストレート系だった。しかし、走らなくなった今年、走者が塁に出ても球種割合で見る限り変化は生じず、相手投手に自身の投球を許していたことになる。
先日のドラフト会議。センターラインの強化が課題の楽天は、センターの守備経験を持つ外野手3名指名した。3位で福田将儀選手(中央大)、4位でルシアノ・フェルナンド選手(白鴎大)、育成1位で八百板卓丸選手(聖光学院高)の交渉権獲得に成功した。その背景には、ここ2年、聖沢が精彩を欠き、また来年には国内FAを取得することもあったはずだ。
島内宏明外野手の台頭も目覚ましい。ライバルは増えている。聖沢には厳しい定位置争いを乗り越え、来年はもう一度あの頃のような走りを見せてほしい。
味方有利の状況を数多く作る「足の演出家」は、デーブ野球に不可欠な存在なのだ。