オリスカウトも絶賛! スピードという〝一芸〟を武器にプロへ飛び込む西野真弘【横尾弘一「プロにつながる社会人野球」】
社会人野球の日本選手権大会が閉幕した。惜しくも準々決勝で敗退したJR東日本の西野真弘。今秋のドラフト会議でオリックスから7位指名を受けた西野は来季、日本選手権が開催された京セラドーム大阪を本拠地にプロでの一歩を踏み出す。
2014/11/13
攻守にわたり〝スピード〟が武器
身長160cm台の選手がプロ入りするのは容易ではない。
168cmの若松 勉(元・ヤクルト)は、首位打者2回のバットコントロールと通算220本塁打のパンチ力で他球団のクリーンアップにも負けなかった。
167cmの吉田義男(元・阪神)は、「今牛若丸」と呼ばれた軽快な守りでベストナイン遊撃手に9回輝いた。
当時、ゴールデングラブ賞があれば間違いなく常連だったはずだ。
そして、168cmの福本 豊(元・阪急)は、盗塁王13回、通算1065盗塁の俊足でダイヤモンドを駆けまわった。このように、偉大なる小兵選手はプロ野球の歴史にも残るような〝一芸〟を備えていた。
また、そうして初めて、プロでプレーするチャンスを得られたと言っていいだろう。
彼らが大活躍した時代に比べ、日本人選手の体格も平均的に大きくなった現代で、小柄な選手がプロ入りできるチャンスは多くない。
そんな中、今秋のドラフト会議でオリックスが7位指名した西野真弘(JR東日本)は、166cmながら攻守にスピードのあるプレーがセールスポイントだ。
東海大浦安高2年夏の千葉県大会では、唐川侑己(現・千葉ロッテ)を擁する成田高を五回戦で破り、3年夏の西千葉大会もベスト8。国際武道大4年時には春秋とも千葉県大学リーグでベストナイン二塁手に選出される。
プロのスカウトから注目されても不思議ではない実力と実績があったものの、身長だけが伸びなかった。
ただ、「体の大きな選手にだけは負けたくない」と無闇にパワーを誇示するのではなく、大型車が入り込めない路地をスイスイ走って目的地に早く到達するような、クレバーでスピードのあるプレーを黙々と磨いていた。
その姿勢がJR東日本へ入社すると実を結ぶ。