オリスカウトも絶賛! スピードという〝一芸〟を武器にプロへ飛び込む西野真弘【横尾弘一「プロにつながる社会人野球」】
社会人野球の日本選手権大会が閉幕した。惜しくも準々決勝で敗退したJR東日本の西野真弘。今秋のドラフト会議でオリックスから7位指名を受けた西野は来季、日本選手権が開催された京セラドーム大阪を本拠地にプロでの一歩を踏み出す。
2014/11/13
場面ごとに冷静に最善策を考えられる賢い選手
1年目からセカンドの定位置をつかみ、1歳上の田中広輔(現・広島)と二遊間を組む。堀井哲也監督が「身長と根性以外は田中にも勝る」と評した堅実な攻守で都市対抗準優勝に貢献し、社会人ベストナインにも選出される。
そして、ドラフト指名が解禁となる今季も、チームを勝利に導く働きを続け、アジア競技大会では日本代表入り。モンゴル戦では会心の本塁打を放つなど、目立つパフォーマンスを見せてきた。
西野に惚れ込んだオリックスの牧田勝吾スカウトはこう言う。
「一つひとつの場面で何をするのが最善なのかを冷静に考えられる選手。プレー以前に、チームが勝つためにはいてほしいタイプだと感じました。今季は2位となり、これからも若い選手が競争してチーム力を高めていきたいオリックスとしては、その競争に加わるひとりとしてうってつけでした」
そうしてオリックスから7位指名を受けた西野だが、指名直後にJR大会、日本選手権と試合が続いていたため、プロ入りできることを実感する余裕も、喜びに浸る時間も持てなかったという。
「日本選手権がオリックスの本拠地・京セラドーム大阪だというのも、何か縁のようなものを感じました。ただ、僕にとっては社会人として集大成の大会です。来年からの仕事場という意識ではなく、最後までJR東日本の一員として優勝を目指し、いい形で2年間の社会人野球を締め括りたいと思います」
守備位置を大胆に変えたり、コースに逆らわず左右に打球を散らしたり、持てる力は存分に発揮したものの、チームは準々決勝で惜敗。その試合後は、目頭を熱くしながら、率直な思いを語ってくれた。
「特にこの1年間は、プレーのレベルだけでなく、あらゆる面で強くなれたと思っています。その経験を大切にしながら、オリックスでもレギュラーになれるよう頑張ります」
目標としてきた平野恵一選手と同じユニフォームを着て躍動する西野の姿を見るのが楽しみだ。