二塁打と犠打の数は球史に残る成績――森野将彦と田中浩康、両ベテランの存在価値
出場機会が減っている中日の森野とヤクルトの田中だが、両ベテランの力は長いシーズン必ず必要となる。
2016/04/05
通算二塁打数は現役選手の中で5位の森野。三塁の“定位置”再奪取へ
今季は若手の台頭が目立つプロ野球。その中で、かつて主力としてチームを引っ張ってきた両ベテランの奮闘に期待したい。中日の森野将彦とヤクルトの田中浩康だ。タイプは違えど、これまで球史に残る成績を積み上げてきた2人に注目だ。
球団創立80周年のメモリアルイヤーを迎えた中日は、開幕から新戦力が躍動した。新外国人選手のダヤン・ビシエドは3月25日の阪神との開幕戦(京セラドーム)から3試合連続本塁打を放ち、日本にやってきた1年目の外国人選手としては史上初の快挙を成し遂げた。
さらに、今年こそ“覚醒”が期待されるプロ5年目の高橋周平は、3月31日の広島戦(ナゴヤドーム)で逆転満塁本塁打を放ち、ようやく一皮むけつつある。10年ドラフト会議で1位指名され、スラッガーとしての潜在能力を買われながら4年が過ぎたが、ついにレギュラーの座をつかみ取れる位置までたどり着いた。
その高橋に開幕三塁のポジションを奪われたのが、プロ20年目のベテラン・森野将彦だ。
昨季は開幕直後、走塁時に送球が右手親指に当たり骨折。その影響もあり、82試合の出場で本塁打も01年以来の0本に終わり、苦汁をなめた。
今季は開幕2軍スタート。オープン戦で結果を残せず、開幕ベンチ入りを果たすことができなかった。和田や小笠原らが抜け、谷繁監督の下で若返りを図る中日は、期待の高橋を春先から積極的に起用している。
森野は04年に就任した落合監督の下でリーグ優勝4回と日本一1回を経験。09、10年には2年連続でリーグ最多となる二塁打(09年42本、10年45本)を放ち、10年の千葉ロッテとの日本シリーズではシリーズ新記録となる4試合連続二塁打を達成している。
通算二塁打数は325本。現役選手の中では5位にランクインされる。節目の350二塁打まであと25本だ。また、昨年の6月27日には通算1500安打を達成。中日の生え抜きの左打者では、立浪和義以来の2000本安打到達に最も近い男でもある。
今年38歳を迎える森野にとって一年でも無駄にできないシーズン。2軍で結果を残し、一日でも早い1軍昇格を狙う。3月30日に行われたウエスタンリーグのオリックス戦(神戸サブ)では5番・DHで先発出場し、2本の適時打を含む4安打2打点とアピール。その存在価値を見せつけた。竜の一時代を築いた左の強打者は、来るべき日に向けてしっかりと結果を残す。