岸“開幕外し”からみえる西武の戦略――捕手・炭谷の配球に隠されたソフトバンク対策
パリーグを制する上で、何よりも圧倒的な戦力のソフトバンクとどう戦えるかだ。西武は今季、その対策を綿密に練っている。
2016/04/11
ソフトバンク、日本ハムに勝つための戦略
8年ぶりの優勝を狙う今季、田邊徳雄監督は開幕戦に菊池雄星を抜擢し、エースの岸を開幕2カード目に回した。飛躍の待たれる若手左腕を叱咤する一方、毎週火曜日の試合は3月29日から1週間ごとにソフトバンク、日本ハム、ソフトバンク、日本ハムと続いていく。昨季、西武はソフトバンクに7勝16敗2分、日本ハムに8勝17敗と大きく負け越しており、指揮官はこの2チームとの直接対決に最も信頼できるエースをぶつけたのだ。
その期待通りに岸が開幕2連勝を飾った4月5日の日本ハム戦後、田邊監督は満面の笑みを見せている。
「うちのエースだし、(ケガで5勝に終わった)昨年の悔しさもあるだろうしね。このシーズンにかける心意気があると思う。ポーカーフェイスで投げているけど、ピッチングにそういうところが表れていた」
マウンド上の岸は、当然、開幕2カード目に投げる先発ローテーションの意図を理解していた。
「その二つ(ソフトバンク、日本ハム)に勝たないと、というのはみんな思っていると思うので。自分としてもチームとしても良かったと思います。でも、今月の対戦がまだあるし、この先もあるので。最終的にこのローテーションにして良かったと言えるような成績になればいいと思います」
3月29日のソフトバンク戦は7回被安打5、4月5日の日本ハム戦は9回を投げて1安打しか打たれず、岸は今季まだ失点を許していない。快調な出だしを切ったエースに、炭谷も全幅の信頼を寄せている。
「ケガさえなかったら、普通にあれくらい(5日日本ハム戦)のピッチングをしてくれると思っています。ケガの分を差し引いても、去年5勝だったのは投打の噛み合わせが悪かったし、ボコボコ行かれた試合はほぼなかったので。普通にケガさえなかったら、と僕は思いますけどね」
迎える4月12日のソフトバンク戦。1週間前にまいた“エサ”をどうやって活かし、バッテリーは強力打線に立ち向かうのか。一方のソフトバンクはどんな狙いを持って対抗してくるのか。
レベルの高い駆け引きが、西武プリンスドームで見られそうだ。