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目下、首位打者“群馬のゴジラ”細谷圭。「万能プレイヤー」へプロ11年目の確変【ほぼ月刊マリーンズ#14】

イーグルスとの3連戦の初戦を獲って、ふたたび首位へと浮上したマリーンズ。そんなチームの好調ぶりをもっとも象徴するのが、目下、首位打者・細谷圭の存在だ。移籍の今江に代わってサードのスタメンをゲットした11年目の伏兵がみせる“確変”の真贋やいかに!

2016/04/13

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ユーティリティ化が競争意識を刺激

 ところで、今季のキャンプでは、先の細谷以外にも、同じく内野手の根元俊一が外野とのかけ持ちに挑戦したり、捕手から外野へとコンバートされた肘井竜蔵が内野の守備練習に参加したりと、現状は控えに甘んじている選手たちが“本業”以外のポジションに就く動きが活発化。客観的に観ても、チーム方針として“ユーティリティ化”を推進している状況があった。

 むろん、一見、安易にも思えるこうしたユーティリティ化は、ただでさえ伸び悩んでいる選手たちを、さらなる“器用貧乏”にもしかねない諸刃の剣ではあるだろう。

 だが、開幕から今日までの戦いぶりを観るかぎり、その方針はズバリと的中。チーム内の競争意識が格段に高まったことで、実質残り1枠の争いだった外野では、荻野貴司の出る幕がないほど岡田幸文が躍動し、レギュラー候補全員が「どこでも守れる」という状態の内野でも、くだんの細谷がいち早く突出するなど、目を見張るような効果を生んでいる。

 昨季の今江敏晃&ルイス・クルーズ流出の際に「基本的には現有戦力の底上げで」と語った伊東勤監督の言葉が、まさにこのユーティリティ化によって現実のものとなりつつあるわけだ。

 ちなみに、キャンプで話を聞いた関係者のなかに、現在の好調ぶりを予見していた人物がひとりいる。それが、自身の育てる投手陣の話はうまく煙に巻きながらも、チームについては「今年は強い」と断言してくれた名伯楽。小谷正勝2軍投手コーチ、その人だ。

「これは俺が2軍でいつもそう思って準備しとることでもあるけど、空いたところにパッと入れられる人材が、各ポジション2人ずつ出てくるチームは必然的に強くなるもんよ。自分が預かってる子らに関しては、(取材時はキャンプ2クール目で)まだどうこう言える段階にはないけど、現時点でのチームの雰囲気を見るかぎり、今年は強なる。俺にはそんな感じがするんやわ」

 12日に行われたイースタンでの公式戦デビュー(対ジャイアンツ戦)でさっそくヒットを放ったヤマイコ・ナバーロの1軍昇格は、最短で今月23日。一方の“恐怖の2番打者”細谷もほぼ同時刻に行われていたイーグルス戦でしっかりタイムリーを放って、存在感を発揮した。

 不安でしょうがないサードの守備はこの際、脇に置くとして、「今年は強い」マリーンズ打線を文字通りに牽引する彼には、ナバーロ解禁後の起用法に頭を悩ませる伊東監督のうれしい悲鳴をさらに増幅させる、真の“覚醒”を期待したい──。

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