粘り強さが光る梨田楽天。開幕スタートダッシュ成功の要因は2アウトからの得点力
2年連続最下位に沈んだ楽天が、戦前の下馬評を覆し開幕ダッシュに成功した。その強さの秘密は2アウトを取られても打線がつながるところ。データで確認してみた。
2016/04/13
2アウトからの得点力が高い
何よりも見逃せないのは打線の奮起だ。
現在の得点は68だ。これはロッテの75、ソフトバンクの72、西武の65に引けを取らない数字である。昨年は両リーグ最低得点に終わったことを考えれば、FA加入の今江敏晃やルーキーの茂木栄五郎ら新戦力の躍動も目立つ今年は、打線が投手陣を良く援護している。
特に今年は2アウト走者なしからの得点が多いのが特徴といえる。
このことはデータでも確認できる。下表にパリーグ各球団の2アウト走者なしからの得点期待値、得点確率を調査してみた。(データは著者調べによるもの)
得点期待値は2アウト走者なしを起点にイニング終了まで平均何点取ったかを表している。得点確率は同状況から3アウトになるまで1点以上を取った確率を示す指標だ。
リーグ平均値は得点期待値.107点。得点確率6.1%。これは近年のNPB平均と大きく変わらない。
その中で、楽天の数字がズバ抜けて高い。その得点期待値.208は千葉ロッテに次ぐリーグ2位、13.9%の得点確率は同1位である。
西武や日本ハムのように2アウト走者なしからわずか1点にとどまるチームも存在する中、楽天が同状況から入れた得点は15点で、チーム得点の22.1%に相当する。「野球は2アウトから」とよく言われるが、今季のイーグルスはそれを体現する粘り強い攻撃ができている。
例えば、3月29日ロッテ戦。2回2アウトから1四球1安打で作った好機で、藤田が放った中安は同点打になった。翌30日ロッテ戦、2点リードの5回2アウトから銀次、ウィーラーの短長連打で挙げた3点目は、プロ初先発の二木康太をKOへと追い込んでいく一打になっている。
4月5日オリックス戦では西勇輝から挙げた6点中5点が2アウト走者なしから生まれた。9日の日本ハム戦、福田が挙げた4打点も2死走者なしからの得点劇。終盤にリリーフ陣が崩れて負けたが、内外に打線の粘り強さを示す一戦になった。
この粘り強さは、梨田監督の采配とも関係しているように思われる。開幕2戦目に早くもオーダーを変えた昨年とは一転、今年は打順を固定した。
そのオーダーは開幕4戦目まで不動。その後、故障の松井稼や藤田がスタメンから外れるケースが増えたが、1番・岡島、4番・ウィーラー、5番・今江、7番・ゴームズ、9番・嶋の大枠は全く変わらない。予め役どころが分かっていれば、選手はそれに向けた準備もしやすくなる。開幕2戦目から8戦目までデーゲームが続いた日程も、試合へ臨む準備という部分で「追い風」になったはずだ。
梨田楽天の勝負はまだ始まったばかりとはいえ、この粘り強さにぜひ注目してもらいたい。