いつか背番号「122」から「22」へ。ロッテ・柿沼、憧れの大捕手を夢見て【マリーンズ浦和ファーム通信#17】
2015年育成ドラフト2位でマリーンズに入団した柿沼友哉。指名を受けた本人は信じられない気持ちだったという。そんな柿沼は支配下登録を目指して、プロ野球選手として日々奮闘している。
2016/04/13
千葉ロッテマリーンズ
キャンプで痛感したプロのレベル
柿沼にはプロに入って忘れられない出来事がある。一、二軍合同で行われた石垣島春季キャンプ初日の2月1日。少し戸惑いながらコーチの指示の下、ブルペンで投手を待っていると、益田直也投手に声をかけられた。「ちょっと立ち投げをしたいから、受けてくれるか?」。新人王に、セーブ王。実績十分の投手からの指名に困惑したが立ち投げ程度ならと力強くミットを構えた。その考えが甘かった。投じられたボールがホームベース付近で伸びるような錯覚を感じた。構えたミットが差し込まれた。驚いた。
「ベース前でボールがグーンと伸びる。あんな感覚は初めてだったし、ミットが押し込まれるのも初めての経験。まだ立ち投げ段階で、こんなボールを投げるのかと、プロの凄さに圧倒されました」
プロのレベルを痛感させられる日々が始まった。ブルペンで自分以外の捕手陣はボールを受けながら気持ちよく音を出していた。その中で、もがき苦しんだ。ボールを後ろに逸らしたり、苦心の日々が続く。時を同じくして福澤洋一二軍バッテリーコーチの指導が始まった。技術面、体力面、そして捕手としての考え方を一から再教育された。二軍の公式戦がスタートをすると、試合後には2年目の寺嶋寛大捕手と2人、1時間近い反省会が催されるのが日課となった。
「とにかく引き出しを増やせと。捕手のリードはいろいろある。打者目線で見るリードもあれば、投手目線で見なくてはいけない時もある。いろいろな状況に応じたリードがある。よく言われますね」
打者の弱点を突くのか、それとも投手の一番、状態のいい球を投げさせるのか。それはケースバイケース。状況に応じて工夫し、様々な情報を瞬時に収集しまとめ、考えなくてはいけない。試合前、試合中、そしてゲーム後と必死にメモを取り、それを見返し反省をする日々を送っている。
「寝る前に、チャートを見て、一日の反省をメモに書いています。ベッドに入ってからも、あれこれと考えてしまう。だから、よく夢を見るんです。野球の夢を。うまくリードできなかった夢や、失敗したことのほうが多い」