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辛口解説者・森本稀哲は、北海道日本ハムの原点を知る男【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#27】

昨年で現役生活を引退した森本稀哲氏は、今季解説者としてOBとして、ファイターズの試合を見守っている。

2016/04/20

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今季は辛口解説者として

 番組はひちょりの球歴を振り返る形で進行した。僕がいちばん意外だったのは名スカウト・山田正雄氏(元ファイターズGM)の「ひちょり発掘ストーリー」の裏話だ。山田さんは練習を見にプロのスカウトが来てると意識した状態じゃなく、選手の普段の姿が見たいと思った。で、これは有名なエピソードなんだけど、となりの帝京大学病院の屋上からグラウンドをウォッチしたんだね。
 
 と、練習前、ひちょりが一人グラウンドに出て小石を拾ってたっていうんだ。こういう真面目な選手は伸びる。そう考えて山田さんはドラフト指名を決めた。で、今回、ひちょりに聞いたらその日たまたまやってたっていうんだよ。前日、後輩に水を撒かせたら下手くそで、グラウンドが荒れた。で、その日だけしょうがなく水まきや小石拾いをして、それを偶然、山田さんが見た。夢を壊してすいませんだって。これには笑った。
 
 ラジオ局だから当時の実況録音をはさむことができる。番組のクライマックスは06年パリーグ・プレーオフ、ソフトバンクのエース、斉藤和巳を攻略した優勝シーンだ。ひちょりは四球で出塁し、決勝のホームインを果たした。球団史を変えたホームインだ。四半世紀、ペナントから見放されていたファイターズがあの瞬間から生まれ変わった。
 
 ひちょりは「いちばんファイターズらしさが出た試合」という言い方をした。四球で出たランナーをつないで返す。二塁走者・ひちょりは稲葉篤紀のボテボテの内野ゴロで長駆生還した。全員が真剣に走った結果だ。そのひたむきさがファイターズだ。
 
 今年、解説者デビューを果たしたひちょりは、本人はそんなつもりがないのに「十人中、八人まで辛口と言われる」のだそうだ。ひちょりは相手が中田翔だとしても、全力で走らなければ苦言を呈する。シーズン序盤、波に乗り切れないファイターズを歯がゆく思っている。
 
 僕はOBひちょりを頼もしく感じたのだ。ファイターズの原点を知る男が現場に戻ってくれた。マイク前にひちょり、ベンチには高橋信二コーチ。「鎌ヶ谷卒業生」の熱いまなざしがチームに注がれている。
 
待たれる守護神・増井の復調――「麻酔タイム」が続く限り、北海道日本ハムの浮上なし【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#28】
 

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