千葉ロッテの強さを支える高い「走塁力」――打球の高さで状況判断も
パリーグで2位につけている千葉ロッテ。今季の戦いの中で目につくのが「走塁力」の高さだ。
2016/05/06
西武戦で見せた角中、ナバーロの好走塁
ロッテの快進撃が続いている。
5月4日に今季初となる3連敗は喫したものの、5日の試合では打撃戦を展開し、9回に一挙8得点を奪って逆転勝ち。これまで、18勝13敗1分でソフトバンクに次ぐ2位につけている。
エース涌井秀章を軸に防御率3.50と安定した成績を残し、打線もデスパイネを主軸に据え、わきを固める角中勝也、清田育宏、キャプテンの鈴木大地が存在感を示し、若手の中村奨吾らが躍動しているのだ。
そんなロッテの戦いで目につくのが「走塁力」だ。リーグトップタイの27盗塁に加えて、相手のスキを突く好走塁を見せている。
例えば、4月26日の西武戦だ。
ロッテは4回表、デスパイネの2点本塁打で逆転に成功すると、したたかな攻撃を仕掛けた。
5番・角中が中前安打で出塁。続く6番・ナバーロが左中間を破る長打を放つと一走の角中が長躯ホームイン。1死三塁となって田村を迎えた場面では、田村は遊撃手の後方へフライを打ち上げたが、三走のナバーロがタッチアップから生還したのである。
定位置なら遊撃飛球だ。しかし西武が前進守備を敷いていたため、遊撃手の金子が背走してキャッチ。ナバーロは金子の態勢を見て、タッチアップで本塁を奪ったのだ。
数字には表れない走塁での2つの得点。
この得点こそ、今季のロッテの戦いの象徴といえる。
「二つ目の走塁はナバーロの判断。こっちもハーフウェーではなく戻ってきてくれと思っていたけど、ナバーロが自分で戻ってきてタッチアップの姿勢に入った。ホームに背中を向けた遊撃手が捕球したんでね、捕球態勢が悪かったからホームを奪えると思って突っ込んだんでしょう」
そう語ったのは千葉ロッテの三塁ベースコーチを務める清水雅治である。
伊東勤政権になってから、ロッテの走塁をつかさどる名コーチだ。
清水コーチは「好走塁は選手の判断。僕の力ではない」と謙遜するが、彼の就任以降、ロッテの走塁は「当然の走塁」の基準が年を追うごとに高くなっている印象だ。
角中は4回表の自身の走塁を「当然の走塁。僕が打者であの打球を打って、一塁走者が還ってこなかったら怒りますよ」と語っているが、それがチーム内に流れている走塁への意識といえるだろう。