千葉ロッテの強さを支える高い「走塁力」――打球の高さで状況判断も
パリーグで2位につけている千葉ロッテ。今季の戦いの中で目につくのが「走塁力」の高さだ。
2016/05/06
守備力が上がると走塁力も上がる
清水コーチは走塁がもたらす、チームへの影響をこう語る。
「バッターが打つこと、ピッチャーが抑えることに、みんなの意識は働くけど、ディフェンス、すなわち、バッテリーを中心とした守りが上がるとチーム力はおのずと上がっていくんです」
あまり語られることはないが、好走塁と高い守備意識は表裏一体でつながっている。おしなべて、走塁がうまいチームは守備力が高いものだ。
なぜなら、隙をつく走塁を心掛けるから、守備の際はおのずと隙を作らないように心掛けるものだし、また逆もいえ、隙のない守備を心掛けるから、攻撃に移った時、その隙が透けて見えるのだ。
さらに、ロッテの走塁では先の塁を狙う意識が徹底されているが、その状況判断力も見逃せない。
清水コーチはいう。
「相手の守備陣形や状況については意識するように常に言っています。ナバーロの走塁であったように、相手の守備態勢ひとつ、打球の高さ一つ。その違いをしっかり見て走るようということです。今年はコリジョンルールなどもあって、より積極的にはなっているかなとは思いますね」
コリジョンルールの影響についてはいまさら言うまでもないが、守備の態勢に加えて、「打球の高さ」という言葉が出てきたのは驚きだ。
この「高さ」というのは、フライが飛んだ際の高さについてのことである。ロッテでは、打球の高さでも、走塁の判断材料とされているのだ。
清水が解説する。
「高さとはフライのとんだ高さのことです。ドーム球場ではそうでもないですが、屋外の球場で高いフライが飛んだ時、野手がそれを捕球して、勢いをつけて送球に入るのって難しいんですよ。風があるし、高いフライだと合わせられない。僕はそれができる外野手をほとんど見たことがない。だから、高いフライの時はどんどん先を狙わせますね。今季、細谷がそのケースで還ってきたことがありました」