千葉ロッテの強さを支える高い「走塁力」――打球の高さで状況判断も
パリーグで2位につけている千葉ロッテ。今季の戦いの中で目につくのが「走塁力」の高さだ。
2016/05/06
好走塁でチームは引き締まる
4月13日、Koboスタジアム宮城で行われた対楽天戦でのことだ。
3回表、無死1、3塁の場面でデスパイネが中堅定位置前への飛球を放った。このときの三塁走者が細谷で、デスパイネのフライが高く上がると、タッチアップの態勢をとったのだ。当然、楽天の中堅手・福田もホームに送球する準備に入ったのだが、高いフライであったため、うまく合わせることができなかったのだ。
この試合は1点差で勝利。決勝点ではないが、こうした些細な走塁の積み重ねが数字に見えない大きな力としてロッテの快進撃を支えているのだ。
5月に入って3連敗を喫したロッテは、GWの戦い方次第で転落する可能性もあった。しかし、先述したように5日の楽天戦では、追いつ追われつの展開をしながら15-8で制した。楽天の8得点中7点がホームランたったのに対し、ロッテがホームランで得点したのは、9回表、中村が左翼スタンドに放り込んだダメ押しの3点のみだった。
決勝タイムリーは1死満塁から代打井口の左翼適時打だった。この際、二走の清田も本塁を駆け抜けている。ロッテナインからしてみれば「当然の走塁」だが、その積み重ねが大量15得点を生んだことを忘れてはいけない。
セカンドから一本で生還する、
1塁走者なら単打1本で三塁を陥れる、長打なら生還する。
相手の守備陣形から守備の態勢までを考えて得点を狙う。
さらに清水コーチはいう。
「走塁というのは一人でも抜けたプレーをすると蔓延するんです。今季は今江が移籍してポジションが一つ空きました。中村や細谷ら、何とかレギュラーを取りたいと高い意識を持って取り組んでいる。そんな中でナバーロにいい走塁が出た。外国籍選手がただ打つだけでなく、そういう走塁を見せるとチーム全体が引き締まるんですよ。いい流れができている」
リーグトップの打率を誇る西武が最下位タイに沈んでいるのに対して、ロッテは、チーム打率がリーグ4位ながら、得点はリーグトップを誇り、リーグ順位は2位につけているのだ。
いかにロッテが質の高い攻撃を仕掛けているか。
「走塁力」こそ、今季のロッテの強さを支えている。