山﨑福也で、2年連続FA補強成功。「渋チン球団」イメージ脱却でチーム強化へ【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#215】
過去には高年俸の選手に対する対応で物議を醸したこともあったファイターズが、今オフ6球団競合の激戦を制し山﨑福也の獲得に成功した。これで伏見寅威に続いて、2年連続のFA補強となり、さすがに驚きだ。
2023/12/23
産経新聞社
エスコンに移転して、好影響?
これでファイターズは伏見寅威、山﨑福也と2年連続FA補強に成功した。ともに優勝チーム・オリックスから最下位のファイターズへ移籍だからリーグの戦力均衡には役立っている気がする。基本、FAに動くことの少ない「渋チン球団」だったから2年連続にはびっくり仰天だ。もしかして自前の球場を持ち、札幌ドームの家賃(?)を払う必要がなくなったから強化費が使えるようになったのかといぶかしく思っている。
強化費の多寡については長年の疑問がある。ファイターズは高年俸の選手がFAの権利を取得するなどすると、サクッとトレードに出したり、「ノンテンダー」(自由契約)として保有選手から外してきた。AKB48等になぞらえて「卒業」と呼称されたりもした。僕は使える人件費の総額が決まっていて、そこからハミ出した分は切っていくポリシーなのかなぁと考えた。いわば自主的な「サラリーキャップ制」だ。とにかくFA補強に慎重だし、外国人選手の代理人がマネーゲームを仕掛けてきたときも乗らない。看板になってるのは「スカウティング」と「育成」だった。若手に切り替えていくから年俸総額は安く抑えられる。
しかし、何でそうも「渋チン」なんだろうと思うのだった。東京ドームの頃ならいざ知らず、北海道移転後は集客もできている。やっぱり札幌ドームの家賃(?)なのかなぁ。一度、ファイターズ通の芸能人とその話になったとき、「ところで近藤健介の引き止めに用意したお金はどこ行った?」と言われてハッとしたのだ。2022年オフに近藤健介がFA宣言して、もちろんソフトバンクが7年最大総額50億ともいわれる破格の提示を行うのだが、日ハムだって(ソフバンまでは行かないにせよ)それ相応の金額は用意したはずなのだ。その使わなかった人件費はどこへ行った? 近藤の穴を埋める補強に使ったかと言われたら、そんな目立った金額は使った形跡がない。もしかして伏見寅威に投入したのか。いや、そこまで高くないか…。
「渋チン」問題に関して、一度、ハムの球団職員さんと会食したとき尋ねてみたことがある。ファイターズはエスコンの原価償却を終わるまで「渋チン」で行くのか? たぶん原価償却が終われば人件費をしっかり使って、攻めの経営に転じられる気がするけど、しばらく待った方がいいのか? フロント職員さんは名は挙げないけど、それなりに偉い方だった。「いや、使えます!」と即答である。これってなかなか重要だと思うのだ。あ、お金使えるようになるのかと嬉しくなった。その晩、僕はめっちゃ機嫌がよかった。山﨑福也の獲得はお金だけじゃないのだけど、お金だってかけている。あぁ、そういう文脈で理解すればいいのかと思う。
日本経済と円が弱くなったせいで外国人(特にアメリカ人!)の実績あるプレーヤーは簡単には獲れなくなった。もう、しばらくニック・マルティネス級は手が届かないと思う。だから国内のFA補強やトレードは大切なのだ。ファイターズのチーム編成に少しずつ「エスコン効果」が出始めてるのかもしれない。まぁ、球団の財布の話は僕らには永遠の謎ではあるけれど……。