ホークス3軍創設の意義――四国アイランドリーグplusとの定期戦で見えた『選ばれし者』と『夢追う者』
ホークスの3軍と四国アイランドリーグplusでは2011年から定期的に交流戦を実施している。
2016/04/16
阿佐智
交流戦は互いにとって貴重な場
4月10日、四国コカコーラボトリングスタジアム丸亀。四国アイランドリーグplus・香川オリーブガイナーズのバッティング練習が終わると同時にフィールドに現れたユニフォームの男たちの体躯は、独立リーガーのそれよりも一回り大きなものだった。
「あちらは選ばれし者。こっちはそこから漏れた者ですから」
香川のコーチ、伊藤秀範は言う。自身独立リーグを経由しNPB入りした経験を持つだけに、選ばれしものとそこから漏れたものとの間に立ちはだかる壁の高さを痛いほどわかっている。
「でも、実力は同じようなもんですよ」
この日の試合相手は福岡ソフトバンクホークスの3軍。2011年にこの制度を発足させたソフトバンクは、それと同時に独立リーグとの定期交流戦を実施している。
「ありがたいことです」と伊藤が感謝の意を示したように、独立リーガーにとっては、NPBとの距離を測る絶好の機会であり、同時にアピールの場でもある。一方の3軍選手にとってもウエスタンリーグ(NPBの2軍リーグ)では得ることのできない貴重な実戦だ。この交流戦はアイランドリーグでは公式戦として位置付けられているため、独立リーグの選手たちは毎回「ガチンコ」で臨んでくる。
伊藤と同じく、アイランドリーグからNPB入りの夢を果たしたソフトバンク3軍マネージャー・西山道隆は、技術面だけみればアイランドリーグのほうが3軍より上かもしれないとさえ話す。
「彼らは独立リーグとは言え、もう数年プロでやっています。それに比べて、ドラフトにかかっているという点では素材的には上かもしれませんが、うちは基本、高卒の選手と育成選手ですから」
実際、この試合の前日、3軍は1対7で香川に惨敗している。
3軍監督石渡茂も「実力的には似たようなもんですよ。昨日みたいにフォアボール出したほうが負けですね」と自軍の実力を評している。