かつては名選手を輩出したポジションの今。西武の遊撃手はなぜ定着できないのか
外崎・金子ら有望なレギュラー候補がいるが、ここ数年、ライオンズのショートが固定できていない。その要因の一つとして人工芝の弊害があるという。
2016/04/18
曲芸的で基本がない日本の守備力
今季の西武を見ていると、ショートにぽっかりと空いた穴が目につく。若手が拙い守備で、味方投手の足を引っ張っているのだ。
振り返れば5シーズンほど前まで、西武のショートは球界を代表する選手が守るポジションだった。2011年までは中島宏之(現オリックス)が定位置を維持し、それ以前は松井稼頭央(現楽天)、現監督の田邊徳雄や石毛宏典という名手も輩出してきた。
だが現在、その伝統はすっかり途絶えてしまっている。
「はっきり言って、日本の守備はサーカスです」
そう指摘するのは元西武の外野手で、08年から11年まで打撃コーチ、守備走塁コーチを一、二軍で務めた熊澤とおる氏だ。現在、柔道整復師として整骨院で治療にあたる同氏は、現役時代から独学で運動動作を学び、松井稼頭央がメジャーリーグで活躍できずに苦しんでいた05年オフ、パーソナルコーチとして渡米。守備の基本を二人三脚で見つめ直し、復活に導いた。
熊澤氏の言う「サーカス」は、決してポジティブな文脈ではない。曲芸的で、基本がおざなりになっていると言うのだ。
日本球界にある問題として、熊澤氏は人工芝の弊害を挙げる。
「人工芝では、打球が飛んでくる軌道にグローブさえ置いておけば、ボールが入ってきます。あとはプロに入ってくるような選手はファーストにビュって投げれば、アウトにできる。日本が人工芝野球になっているのが良くなくて、だから日本人内野手がメジャーに行っても活躍するのが難しいわけです」