バーヘイゲン、3年ぶり復帰のインパクト。先発ローテ枠「再ブレイク組」へ期待感【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#217】
上沢直之がレイズとマイナー契約を締結すると発表された12日。同日にドリュー・バーヘイゲンが3年ぶりにファイターズに復帰することが決まった。これで2024年の先発陣の全体像が見えてきた。
2024/01/20
産経新聞社
エースの去就にやきもき
1月はプロ野球のカレンダーでは自主トレ期間だ。2月1日のキャンプインに向け、各自調整を重ねる。球団行事ではないので、ユニフォームはもちろんチームウエアも厳禁だ。「新人合同自主トレ」であっても球団公式サプライヤーのものでなく、思い思い自前のトレーニングウエア姿だ。また「秋山翔吾組」の下田キャンプに参加している五十幡亮汰のように所属チームの垣根は取っ払われることになる。僕は寒いなか、ニット帽をかぶった選手が走り込みをしているような光景が好きだ。そんな写真を見ると、いかにも「始動!」とか「球春間近」という感じがする。
ところがファイターズの場合、この1月は単に自主トレに目を細めていればいい期間ではなかった。チーム編成上の重大事が決する(もしくは決さない)、ファンからしたらドキドキの期間だった。日本時間12日の午前7時を期限に上沢直之のポスティング移籍の可否が決まるのだ。これが12月中にでも早々合意が発表されてたのなら、僕らも諦めがついただろう。球団のポスティング移籍容認が公になった段階で、「上沢がんばって来い!」という気持ちだったのだ。が、もし万が一、話がまとまらなかったら…。そのときはファイターズでガンガン投げてくれと思っていた。そして、期限ぎりぎりまで「レイズ、オリオールズが興味を持っている」程度の報道で、行き先が確定しなかったのだ。
これはローテをどう組むかの大問題だ。上沢がもしチームに残るなら事実上、「最大の補強」だ。エースローテで24試合170イニング投げてくれるピッチャーなんてそう簡単に見つからない。FAで山﨑福也を獲得したが、もし残ってくれたらすごい投手陣だ。上沢直之、山﨑福也、加藤貴之、伊藤大海、上原健太と5枚が十分計算でき、残り1枠を鈴木健矢、根本悠楓、金村尚真、細野晴希の成長、もしくはマーフィー、ザバラ、ロドリゲスのうち適性のある者で埋める感じだろうか。
というわけで、12日朝は「上沢決まってくれ」「上沢決まらないでくれ」という全く相反する感情が交錯するへんてこりんな朝だった。刻限の7時を迎えてもネット上に「オリオールズ確定!」みたいなニュースが出ない。しばらく宙ぶらりんな状態が続き、「レイズとマイナー契約」という情報が出た。すると「決まらないでくれ」と半ば思ってたくせに、うちのエースをマイナー契約とはどういうことだ、そんな低評価はけしからんとカッとなっていた。
※実際は本人がレイズの投手育成を信頼して、敢えてマイナー契約を選んだということだった。