今年の中日は高橋ら若手選手に変化の兆し。小笠原二軍監督率いるファーム改革も好影響
中日ドラゴンズが粘り強く勝利を積み上げている。投打の主力が離脱しているが、高橋周平ら次世代を担う若手の才能が開花しつつある。
2016/04/19
ファームに活気。一軍に好影響
実際、今春のキャンプは一軍の北谷組には今ひとつ活気が感じられなかったが、ファームの読谷組は落合博満監督の時代を思わせるピリピリしたムードが漂っていた。ある球団関係者は「北谷と読谷で紅白戦をやったら、読谷が勝つんじゃないか」と言うほどで、ウエスタン・リーグが開幕すると、いきなり阪神に3連勝。20試合を終えた時点で13勝6敗1引き分けと大きく勝ち越している。
ファームは育成、あるいは調子を崩した一軍メンバーの調整の場であり、勝敗は二の次と言っていい。だが、小笠原道大二軍監督が選手の自主性を尊重しながらも、勝利につながるプレーをすることが一軍への近道だと示したことで、選手が闇雲に数字を追いかけるのではなく、どうすれば勝利に貢献できるのかを考えるようになったという。
それが、打率が目に見えて高くなくても進塁打をしっかり決めたり、勝ち星やセーブがつかなくても任された場面を抑えたり、といったプレーになる。さらに、「昨年は一つひとつのプレーで叱責され、ビクビクしている選手もいたけれど、今季はそうした雰囲気がないのでのびのびやっている。ウエスタンで優勝しようというムードがあります」と前出の球団関係者が見ているように、チーム内の風通しのよさも選手のモチベーションを高めているようだ。
このようにファームが活気に満ちていることは、一軍の若手にもいい意味でプレッシャーになっているはずだ。捕手は開幕から桂依央利と杉山がツープラトン起用されているが、二人には「ファームに落ちても、またチャンスはあるだろう」という甘さではなく、「結果を残さなければ誰かに取って代わられる」という危機感が漂う。好調を維持する高橋にしても、今年こそ三塁の定位置を手にしなければという強い気持ちが見て取れる。
そんな若い力が日替わりヒーローを生み、まずまずのスタートダッシュにつながった。ここからセ・パ交流戦までに戦いぶりが落ち着き、3つ、4つと連敗しないチームに成熟していけるか。それが4年ぶりにAクラス入りできるかどうかのポイントになるだろう。