MLB日本人野手3人目の3割打者へ、青木宣親に必要なのはスタミナと頑健さ【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】
ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は日本人メジャーリーガーで打率3割を打った選手の話だ。
2016/04/21
Getty Images
日本人メジャーリーガーで打率3割に最も近いのは青木
青木は昨年まで.285以上の打率をマークしている。あと少し頑張れば3割に手が届く。
しかしながら、それは簡単ではない。
青木のMLBでの年度別の月間打率だ。
今年は本調子ではないものの青木は例年、滑り出しが好調で、5月くらいまでは3割を維持することが多い。しかし、夏場に向かって次第にバットが湿ってくる。7月、8月には打率を下落させる傾向にある。十何連戦も普通という過酷な環境下で、疲労がピークに達するのも下落する要因の一つと考えられる。
2015年の青木は好調で、最多安打を狙う勢いだった。しかし6月20日に足への死球で戦線離脱、7月27日に復帰するも8月9日に今度は頭部への死球。脳しんとうの影響でそのままシーズンを終えた。
結果として、6月11日に.336あった打率は、8月23日に3割を割った。また規定打席にも到達できなかった。
イチローは10年連続で打率3割以上を残していた期間、32試合しか欠場していない。2009年はWBC日本代表になった関係で調整が出遅れ、開幕から8試合欠場したが、それ以外に戦線離脱はなかった。
MLBで3割を打つには、過密な日程をこなすスタミナと、怪我をしない頑健な体が必要なのだ。
今季の青木は、日本時間21日までの14試合のうち11試合で安打を放っている。今のところ、打率は低いが、NPB時代から猛打賞などの固め打ちで一気に上げることがある。
今季こそ3割をマークすることを期待したい。