DeNAに浮上の兆しはあるか? ラミレス監督の右腕が描く、打線の理想形
昨年とは一転、開幕から横浜DeNAベイスターズが苦しい戦いを強いられている。ここから浮上する上で何がポイントになるか。
2016/04/23
両リーグ最低のチーム打率.226
早くも正念場。ラミレス新監督のもと再始動した横浜DeNAベイスターズが窮地に追い込まれている。ここまで22試合を消化し6勝14敗2分でリーグ最下位(以下のデータは4月22日現在)。すでに借金8となり、4月中の二ケタ借金も現実味を帯びてきている。
昨年の秋季キャンプから『凡事徹底』を合言葉にチーム作りをしてきたが、相変わらずエラーやバント失敗、走塁ミスが目立ち、勝利へのさまたげになっている。
とくに4月17日のヤクルト戦、2点リードの9回裏、2死二塁で白崎浩之が適時失策を犯しサヨナラ負けの流れを作ってしまったのはチームにとって痛恨だった。
ただ、昨年のチーム状況を鑑みれば今シーズンになって改善されている部分もある。
課題だったセンターラインの強化は、多少のミスは目立つが、ルーキー捕手の戸柱恭孝が懸命に体を張りピッチャーをリードし、二遊間は倉本寿彦と柴田竜拓、あるいは石川雄洋といった面々が安定した守備を見せ、センターは梶谷隆幸が不在の中、桑原将志と荒波翔が及第点のディフェンス力を発揮している。
懸念材料だった投手陣もエース格である山口俊の出遅れがあったものの先発ローテーションは順調にまわっておりチーム防御率3.34という数字を残している。
ちなみに救援陣だけの防御率を見ると3.77と悪いが、須田幸太、田中健二朗、三上朋也、山﨑康晃といった主にリードや同点の場面、もしくは僅差のビハインドで出てくるピッチャーたちは防御率0点台~2点台で、きちっとやるべき仕事をこなしている。
最大の問題はリーグ最低となる打率.226の打撃陣だ。
打ち勝つ野球が身上のDeNAにとってこれは致命的であり、さらに安打が出てもその後が続かず残塁の山を築いた試合も少なくない。打線の繋がりの悪さはオープン戦から指摘されていたことだが、進藤達哉ヘッドコーチはここまでの戦いを次のように振り返る。
「開幕当初は1番、3番、5番で流れが寸断されていたのは明らかでした。打線というのはまず4番を決め、その前後を誰が打つかを決めていくわけですが、そこが安定しなかったのは正直チームとして苦しいところです。3番、5番の状態が悪いと4番の筒香(嘉智)も調子を落としてしまう」
現在リーグの本塁打王(7本)の筒香であるが、自身がここまで挙げた13打点のほとんどがホームランによるものである。つまりタイムリーヒットが打てていないということであり、本塁打王であるものの基本的に打点を強く意識している筒香にとっては、まだエンジンが掛からない状態なのかもしれない。
進藤コーチは続ける。
「しかし、ここに来て1番と5番に打開策は見えてきたかなと。1番は桑原が頑張ってくれているし、5番にロペスが戻ったことで復調してきている」
開幕から1番には白崎が入っていたが打率1割台と低迷。ここ最近は桑原が1番に座り気を吐いている。4月10日のヤクルト戦では第一打席で初球を叩き勝利への口火を切ると、20日の広島戦では3安打2打点の大活躍でお立ち台に上がりファンの歓声を浴びた。打率.354もさることながら出塁率.392は十分に1番としての役目を果たしている。
ロペスは開幕当初から3番を任されたが、これもまた打率1割台と調子が上がらなかった。しかし4月9日のヤクルト戦から昨年まで務めた5番に復活すると三打席連続本塁打という離れ技の大当たり。5番に座ってから現在まで3割台の打率を残している。また、それまで5番だったロマックの打率が1割台というのはチームにとっては誤算だった。