楽天・茂木、パ18年ぶり野手の新人王も。チームのアキレス腱だったポジションを埋めた男の際立つ能力
阪神の高山俊、オリックスの吉田正尚など大卒新人野手の活躍が印象深い今シーズン。仙台で気を吐くのが、ホットコーナーを守った早稲田大学からドラフト3位で楽天入りした茂木栄五郎だ。
2016/04/24
「レギュラーをもぎ取るように」
近年のイーグルスは、松井稼頭央が外野手に転向した後、遊撃がチームのアキレス腱になっていた。2014年は高卒5年目の西田哲朗が抜擢され94試合に先発出場したが、翌2015年キャンプから骨折に見舞われてしまう。
その西田故障の穴を埋めるべく後藤光尊が63試合でスタメン起用されたが、守備負担の大きいポジションがベテランを疲弊させ、本来の力を引き出すことができずに終わった。
センターラインの強化を掲げて臨んだ昨秋のドラフト、ドラフト1位のオコエ瑠偉、同2位・吉持亮汰らと共にイーグルスが白羽の矢を立てたのが、3年秋に東京六大学の首位打者を獲得した実績を持つ茂木というわけだ。
昨年12月の新入団選手発表会、梨田監督に高い期待を受けた茂木は、実はアマチュア時代、本人も正確には思い出せないほどショートストップの経験がなかったと言う。その中、首脳陣から素質を買われ、久米島キャンプから遊撃の守備位置でノックを受け始めた。オープン戦では15試合中12試合で遊撃先発出場。ごく短期間での突貫工事で驚くべき成長を見せ、梨田監督の予言どおり内野の要となる定位置をもぎ取った。開幕戦で球団史上初の新人野手スタメン出場を果たすと、正遊撃手として22試合中21試合でスタメン出場している。(成績は全て4月23日現在)
経験なかった遊撃だが、守備が安定している。
ここまでエラーはファンブルの1つのみ。守備率.990は日本ハム・中島卓也に次ぐリーグ2位だ。守備の新指標UZRでも同2位の+6.2を記録する。三遊間の深いゾーンに飛んだ打球に対して打球の追い方が秀逸で追いつくことが多く、取ってからの1塁遠投はきわめて正確。二遊間への動きも、茂木が遊撃に就く間は、二塁ベースに向かって左側のショート方向をゴロ突破された中前安打は、わずかに4本しか許していない。