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楽天・茂木、パ18年ぶり野手の新人王も。チームのアキレス腱だったポジションを埋めた男の際立つ能力

阪神の高山俊、オリックスの吉田正尚など大卒新人野手の活躍が印象深い今シーズン。仙台で気を吐くのが、ホットコーナーを守った早稲田大学からドラフト3位で楽天入りした茂木栄五郎だ。

2016/04/24

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投手に多くの球数を投げさせ、追い込まれても簡単には凡退しない

 バットでは93打席で打率/出塁率/長打率は.263/.333/.375の成績だ。無安打試合が続いたのは最大2試合で1度だけ。コンスタントにヒットを飛ばしてきた。中でも際立つのは、18.44m先の相手投手に必要以上の球数を投げさせる能力になる。

 我々ファンは「新人=初球から積極的に振っていく」というステレオタイプにとらわれがちである。しかし、茂木の場合は当てはまらない。初球スイング率は24.7%。ここ3年間のリーグ平均値が24.9%~26.5%の間に収まることを考えると、平均付近に位置する。この値、走者無しでは20.0%に下がり、待球姿勢が浮かび上がってくる。

 1打席当たりの平均球数P/PAは4.14を記録する。ここ3年間のリーグ平均値が3.91~3.95の間に収束しているため、茂木は他打者よりも数多くの球数を投げさせてきたことが分かるのだ。ここまでの全93打席中、6球以上勝負は21打席。全体の4分の1に迫る多さでその成績は16打数6安打、3二塁打、1三塁打、3三振、5四球と傑出している。2ストライク以降打率も.279ときわめて高い。

 プロ初安打も8球勝負を制した一打だった。3月26日ソフトバンク戦、バンデンハークから放った左中間フェンス直撃スリーベースヒットは、初球を見送り、4球目で2-2と追い込まれた後、ファウルで粘ること2度、ボールを1球見送って作ったフルカウントからの8球目、147キロ速球を仕留めた当たりだった。

 ファウルの総数は77本。カウントを取られたファウル38本に対し、2ストライク以降ファウルが39本とわずか1本だが上回るのも特徴的だ。決して当てにいってのファウルではない。しっかりバットを振り切ってのファウルが多いのだ。新人のため球筋が分からない初対戦の投手との対戦が続く中、仕留めにいったスイングがファウルになるケースもあるのだろう。しかし、空振りさせられることなく、コンタクトし続けることで球数を投げさせ、その間にアジャストしていく。

パリーグは1998年の西武・小関竜也以来、野手は新人王から遠ざかっている。茂木が18ぶりの受賞なるか。早くも期待が高まる序盤の活躍劇だ。

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