高い奪三振率を誇る則本、年々日本野球に適応するメッセンジャー【2014年タイトルホルダー 最多奪三振編】
パリーグの最多奪三振は最終戦で則本が金子を上回り受賞。セリーグはメッセンジャーが圧倒的な差でタイトルに輝いた。
2014/11/19
年々、投球術に磨きがかかるメッセンジャー
セリーグの最多奪三振は、2年連続でメッセンジャーが獲得した。奪三振は12球団最多の226個、2位の藤浪晋太郎に54個もの差をつけた。
数を稼ぐ最多奪三振は、もちろん三振を奪う能力があることが前提になる。と同時に投球回数が多いほど有利になる。
今シーズンもメッセンジャーは基本中6日のローテーションをシーズンを通して守り抜いた。投球回数は208回1/3で、こちらも2年続けて最多。2番目に多かった前田健太の187回に21回1/3差をつけた。
1試合二桁奪三振は3・4月、6月、7月、9・10月に各1度、計4回しかなく、1試合最多も13個と多くはない。それでも、抜きん出て奪三振数が多かったのは、やはり投球機会が多かったためだ。
もちろん、それだけがタイトル獲得の要因ではない。
奪三振率も9.76でトップだった。日本人の主戦級投手並の160回程度投げていればタイトルはとれていたことになる。
3・4月に43奪三振をマークすると、その後月間30個を切ることはなかった。5月は唯一、月間の奪三振数が投球回を下回ったが、それでも8.23。他の投手を寄せ付けることなく、奪三振の山を築いたのである。
メッセンジャーは今シーズンで来日5年目になる。
もともと中継ぎ要因でバタバタと三振をとるタイプではなかった。
1年目の2010年は投球回数が少なく、奪三振は48個、奪三振率にして5.38しかなかった。
奪三振が多く与四球が少ないほど大きな値になり、投手としての完成度の高さを示すK/BBは1.55と、「危険」とされる1.50に近かった。
今シーズンの与四球69はリーグ最多だが、これも投球回数が多い故。年々、制球力は向上しており、今シーズンのK/BB「優秀」とされる3.50に迫るまでになった。
来シーズン、34歳となるメッセンジャー。まだまだ進化をつづけるのか、それとも今シーズンがピークなのか? 助っ人投手では初となる3年連続の最多奪三振のタイトルがかかる来シーズン、真価を問われることになりそうだ。