「強竜打線復活へ」ビシエド、ナニータら好調ドラゴンズをけん引する助っ人陣【小田幸平の眼】
現在12勝9敗2分でリーグ単独2位につけている中日ドラゴンズ。好調の要因をドラゴンズOBで評論家の小田幸平氏に分析してもらった。
2016/04/26
ドラゴンズの弱点だった“5番”が解決!
――中日ドラゴンズは巨人戦の中止を挟み、阪神タイガース、東京ヤクルトスワローズとの6試合を5勝1敗と大きく勝ち越しました。その前の3連敗からよく盛り返してきたと思いますが、小田さんはドラゴンズの好調の理由をどう捉えますか?
小田 一つだけ挙げるとすると、「5番の固定」ですね。ドラゴンズは最近までずっと5番打者を誰にしようか試行錯誤してきましたが、ナニータを5番に固定できたことで打線につながりが生まれました。ナニータが好調を維持することで、4番のビシエドにもいい効果が出ていますね。相手のバッテリーもビシエドと勝負しなければいけませんし、選球眼のいいビシエドが四球で歩けば勝負強いナニータがランナーを返す。3番の高橋周平も含めて、クリーンナップが3人とも3割以上打っているのがドラゴンズ打線の強みです。
――前回のインタビューで小田さんは「打線の弱点は5番にあり」と指摘していましたが、ナニータの活躍でそれが解決したわけですね。
小田 まさしく。シーズンの序盤は平田が5番に入って機能していましたが、平田が戦線離脱してからはなかなか点が取れない試合が続いていました。でも、今はナニータが5番に固定されて、さらに復帰した平田が6番に入ることで、かなり怖い打線になったと思います。
――ナニータは現在打率が3割2分7厘、23日のヤクルト戦では来日初ホームランも飛び出しました。昨シーズンも3割近く打ってはいましたが、あまり印象に残る活躍はしていません。一体どのような変化があったのでしょう?
小田 ナニータはシーズンオフに肉体改造を行って、10キロ近く体重を落としているんです。その結果、体にキレが出て、インコースもうまく捌けるようになりました。3月29日の広島戦でも、インコースのボール球を弾き返してタイムリーツーベースを打っています。ボクは体重を落としてパワーも落ちるんじゃないかと心配していましたが、それは杞憂でしたね(笑)。ドミニカ出身のラテン系の人たちは調子にノリはじめると怖いですよ。
――たしかにノッている感じがしますね。そういえば、ビシエドの逆転満塁ホームランのとき、一番はしゃいでいたのはエルナンデスでした(笑)。
小田 この前、ビシエドと初めて会いましたけど、陽気な男でしたよ。彼も間違いなくラテン系のノリを持ってますね。
――来日前は「素行不良」なんて噂が流れていましたが……。
小田 ぜんぜん心配ない! 今の調子なら「中日ドラゴンズの助っ人といえばビシエド」となるぐらいの気配がありますね。
――小田さんはウッズ、ブランコを間近で見ていたと思いますが、彼らと比較したとき、ビシエドのすごいところとはどんなところでしょう?
小田 ウッズも頭の良い選手でしたが、ビシエドも頭が良いですね。まず、日本の野球に慣れるのが早い。たとえば、メジャーでカウント2ボール0ストライクなら基本的にストレートが来ますが、日本の場合はスライダーやカーブなどの変化球が多いんです。でも、ビシエドはそれを4月のこの時期に飲み込んでいます。ヤクルトのルーキはストレートが速い投手ですが、3ボール1ストライクからゆるいスライダーを打って満塁ホームランにしましたよね? あの場面、普通ならストレートを待つところなんです。でも、あそこで変化球をジャストミートしたところが本当にすごい。ビシエドの頭の良さの証明でしょう。
――なるほど。日本のバッテリーの組み立てを理解しているんですね。
小田 インコースを攻められても、ボールなら見逃したり、弾き返してホームランにしたりと対処しています。きっとシーズン前のオープン戦の時期から、日本の野球について勉強していたんでしょうね。他のチームのキャッチャーも、今はどこを攻めたらいいかわからなくなっていると思いますよ。