「強竜打線復活へ」ビシエド、ナニータら好調ドラゴンズをけん引する助っ人陣【小田幸平の眼】
現在12勝9敗2分でリーグ単独2位につけている中日ドラゴンズ。好調の要因をドラゴンズOBで評論家の小田幸平氏に分析してもらった。
2016/04/26
竜投のお手本、吉見一起の投球術
――投手陣のほうはいかがでしょう?
小田 大野が離脱したのは苦しいけど、吉見がお手本のようなピッチングをしてくれたのは心強いですね。23日の試合は勝ち星にはつながらなかったけど、吉見のコントロールは目を見張るものがありますね。しっかりゲームを作れますし、1球1球意味のあるボールを投げていますよ。自分のスタイルをよく理解しています。
――そういえば小田さんはナゴヤドームで開催された「春の竜陣祭」のトークショーに出演されていましたが、飛び入りゲストで吉見投手がやってきたとお聞きしました。どんなお話をされたんでしょう?
小田 「あなたと組んでいたのは楽しかったよ」と言ったら、「楽しいと言われるのはプレッシャーになります」と言ってたね(笑)。表情も明るかったし、今後も期待できると思いますよ。
――それは心強い。とはいえ、投手陣は先発の数が揃わず、まだまだ苦労しそうです。
小田 今は打線に助けられていますよね。ただ、打てなくなる時期も確実に来ますから、そのとき投手の力で勝つことができれば、いい「中日の野球」になると思いますよ。
――守備面では、堂上直倫選手が相変わらず好守備を連発しています。
小田 24日の試合も逆転した後、直倫のファインプレーでヤクルトの反撃を断ち切ったからね。これも前回の記事でボクが言ったとおりになって、ちょっとうれしい(笑)。直倫は真面目な男だけど、彼もノッていくタイプだから、試合に出ることでだんだん打撃も良くなってきています。このままレギュラーを獲ってもらいたいね。
最近の試合では、もう一つ感動したことがあって……熊本と鹿児島の巨人戦が中止になった後、22日のヤクルト戦でドラゴンズが11点取って勝ちましたよね。
――はい、先発野手全員安打の試合でした。
小田 みんな打ちましたけど、ボクは荒木が2安打したことに本当に意味があると思っていて。とてもつらいことがあった中でのスタメン起用だったので、いろいろ思うところがあったと思うんです。
――荒木選手は地震で大きな被害を受けた熊本の出身ですね。
小田 24日に会っていろいろ話を聞いたんですけど、自分の家族や友達も車の中で暮らしていると言ってました。無理して明るい表情をつくってましたけど、絶対につらいと思うんです。荒木はそういうことを表立って言うヤツではありませんけど、試合で結果を出すことが自分にできることだと考えていたと思います。それが結果に結びついて、本当に良かったと思いましたね……。
――荒木選手の2000本安打が達成されたら、熊本の人たちを勇気づけるかもしれませんね。今日はありがとうございました!
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小田幸平(おだ・こうへい)
1977年3月15日、兵庫県高砂市出身。ニックネームはODA(オーディーエー)。市川高校、三菱重工神戸を経て、97年ドラフト4位で巨人に入団。06年に野口茂樹の人的補償として中日に移籍。谷繁元信現監督の控え捕手として、チームのリーグ優勝3回、日本一1回に貢献。現役引退後は野球解説者はじめトークショーや講演、野球教室、イベントなど精力的に活動している。