パリーグ開幕20試合診断――5球団包囲網を簡単に突破したソフトバンク。対抗馬はロッテ、ナバーロの出来がカギ【小宮山悟の眼】
開幕からはや1カ月。どのチームも、すべての相手チームと一通り以上の対戦を済ませ、20数試合を消化した。各チームによって状況は様々だが、今回は「20試合診断」と題して、気になったチームを紹介したい。(※4月25日現在の順位・成績を基にする)
2016/04/27
ナバーロ効果がどちらに出るか?
ソフトバンクの対抗馬1番手は、現在2位のロッテだろう。ナバーロが復帰するまで勝率5割で御の字と予想していただけに、投手陣を中心とした頑張りは、素直に評価したいと思う。これで、ナバーロが期待通りの活躍をしてくれれば、かなり面白くなる。
涌井と石川という2人のエースがいて、この連載の開幕前予想でも触れた二木にも、先発ローテーション投手としての目途が立った。後は、スタンリッジが額面通りの数字を残せば、先発陣は、ソフトバンクに決して引けを取らない。
ブルペン陣の質・量はもともとリーグ随一。ソフトバンクとのマッチレースに持ち込めれば、優勝の可能性だって見えてくるだろう。
ただし、シーズン途中からのナバーロの起用は、リスクもはらんでいる。
彼をスタメンで出場させる代わりに、当然、それまで好調のチームを支えてきた細谷や中村、三木などをベンチに置く機会を増やさなければならない。そんな状況で、活躍するのが大前提のナバーロが、もし打てなかったらどうなるのか。たとえばメジャーリーグのように、「健康体ならスタメン起用」などという細かい契約が結ばれていれば、外される選手たちも納得できるが、日本球界の場合そうはいかない。一気に、チームの雰囲気が悪くなるのは言うまでもないだろう。
ナバーロの起用はもろ刃の剣なのだ。
好調なロッテとは対照的に、予想に反して残念な戦いぶりが続いているのがオリックスだ。早くも投手コーチの配置転換が発表されたが、正直、驚いてしまった。
昨年、就任し、秋季キャンプにも参加した。そんなコーチを開幕直後に異動させたのだから、「これまで何をやっていたんだ?」と思わずにはいられない。3位争いの一角と予想していたが、迷走はしばらく続きそうだ。
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小宮山悟(こみやま・さとる)
1965年、千葉県生まれ。早稲田大学を経て、89年ドラフト1位でロッテ・オリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)へ入団。精度の高い制球力を武器に1年目から先発ローテーション入りを果たすと、以降、千葉ロッテのエースとして活躍した。00年、横浜ベイスターズ(現横浜DeNAベイスターズ)へ移籍。02年はボビー・バレンタイン監督率いるニューヨーク・メッツでプレーした。04年に古巣・千葉ロッテへ復帰、09年に現役を引退した。現在は、野球解説者、野球評論家、Jリーグの理事も務める。