セリーグ開幕20試合診断――強さを感じない巨人、コーチの意見を尊重する金本阪神。ペナントは大混戦【小宮山悟の眼】
開幕からはや1カ月。どのチームも、すべての相手チームと一通り以上の対戦を済ませ、20数試合を消化した。各チームによって状況は様々だが、今回は「20試合診断」と題して、気になったチームを紹介したい。(※4月25日現在の順位・成績を基にする)
2016/04/28
金本采配の特徴
前回につづき、セリーグも診断したい。
個人的には、優勝と予想した広島がまずまずのスタートを切ってくれたことを素直にうれしく思う。確かにマエケンの抜けた穴は大きい。だが、選手や首脳陣ら現場に「埋める」という強い意志があって、球団に明確な戦略的ビジョンがあれば、どんなに大きな穴も埋まるものなのだ。今年も投手陣はそれなりの成績を残してくれるだろう。
しかし、打線の核であると期待していて、実際に機能もしていたルナが、怪我で離脱してしまった。これはかなり痛い。彼が復帰するまでの戦い方が、今後のポイントになるだろう。
阪神の金本監督の采配からは、「コーチの意見を多く聞いている」という謙虚な印象を受ける。自分に監督経験がないということをよく理解しているのではないか。
自身の現役時代の経験を基準にすれば、すべての選手の練習量や試合への取り組み方を物足りなく感じているはず。だからといって、むやみに自ら先頭に立ち猛烈に発破をかけるやり方はしていない。きっと、コーチからの「平均的な選手はこのレベル」という話を聞き入れ、納得しているのだと思う。
選手起用に関しても同様だ。ルーキーの高山や若手の横田、北條を使い続けるのはコーチの進言があったからだろう。さらにそれは、矢野バッテリーコーチがいち押しする岡崎を捕手に起用していることからも窺える。
そうやって周囲の意見を上手に取り入れるやり方が、ある程度うまくいっているので、今後もこの方針は続くだろう。あくまで外から見た感じだが、選手・首脳陣全員が同じ方向を向いていて、ベンチの雰囲気が良い点も好印象を受ける。金本監督の謙虚な姿勢がプラスに働いているのだろう。