菅野智之、大黒柱としての責任感――「原辰徳の甥っ子」から「巨人のエース」へ【死亡遊戯コラム】
今季いまだ自責点0。巨人の正真正銘のエースとして菅野智之が君臨する。
2016/04/29
離脱こそ、チームに迷惑をかける
まさに「圧倒」の投球が続いている。
28日、菅野智之は甲子園での阪神戦で先発すると8回無四球12奪三振の快投。
7回一死満塁のピンチでは代打狩野恵輔を149キロの直球で空振り三振、続く新井良太もスライダーで空振り三振に斬って獲った。
味方エラーで連続無失点こそ30イニングで止まったものの自責点は0、4月は4試合33回を投げ驚異の防御率0.00。
プロ入り以来勝ちのなかった神宮球場でも堂々の完封勝利。
今季はすでに2完封を記録しており、防御率0.56、3勝、42奪三振はすべてリーグトップだ。
特筆すべきは与四球の少なさで48イニングでわずか2つ。セパ規定投球回到達者38名の中で最少である。
そして、ここまで先発した6試合では1試合平均8イニングを投げ、チームは1試合も負けていない。
いつの時代もエースの定義は「負けないこと」だと思う。
マエケンがメジャー移籍した今の日本球界において、菅野は最も負けにくい投手だろう。
プロ4年目の進化。26歳にして巨人のエースの風格と自覚が感じられる背番号19。
22日のDeNA戦は7回無失点ながら右手中指の豆で降板したが、その決断にはプロ2年目の苦い経験が生きている。
14年、菅野は8月に右手中指の腱の炎症で離脱するが、実はその前からずっと膝を痛めていたのだとインタビューした際に話してくれた。
「交流戦が始まるちょっと前から2カ月くらいそれを隠しながら投げてて、結果的に腰や肘にも影響がきてしまいました」
もうあの時と同じ過ちを犯すわけにはいかない。
ここで無理をして完封を狙いに行き離脱でもしたらチームに大きな迷惑をかける。
個人より巨人。今シーズンの先発ローテで実績のある頼れる先発投手は菅野ひとりというのが現状だ。
日本人投手では89年生まれの菅野と高木勇人が最年長。
田口麗斗、今村信貴、平良拳太郎といった若い先発陣を背番号19が牽引している。