「みんなで粘っていこう」最年長ベテランの言葉に先発陣が奮起! スワローズのGWはどこまで続くか【新・燕軍戦記#23】
4月を終えて13勝15敗1分け、セリーグ5位の東京ヤクルトスワローズに、光明が差してきた。なかなか試合をつくることができずにいた先発投手陣が奮起し、投打の歯車がかみ合って4連勝。大型連休は「スワローズのゴールデンウィーク」の様相を呈してきた。
2016/05/03
石川「先発が頑張らないと優勝もない」
「なんとか先発ピッチャーで粘っていこう」
その頃、試合前の練習のために先発投手陣が集まったところで、そう声をかけたのが石川だった。
「こういう状況だからいろいろ言われたり、書かれたりするかもしれないけど、良い時は良く書かれるし、それを気にしても仕方ない。とにかくピッチャーみんなで粘っていこう」
投手陣のリーダーのそんな言葉に、さっそく応えたのが1学年下の新垣だった。今季初めて一軍の先発マウンドに上がった4月28日の広島戦(神宮)、初回に2点を失いながらもその裏に6点の援護をもらうと、その後は2本のソロホームランによる2失点でしのぎ、自身にとって283日ぶりの勝利。続く29日は、石川が9回2死まで巨人打線を無失点に抑えて範を垂れ、「先発が頑張らないと優勝もないので、僕らは責任感を持ってやらなきゃなっていう思いはあります。(先発陣への話は)僕自身も乗り切れてなかったんで、自分に言い聞かせる意味もありました」と話した。
さらに30日の同カードで先発した小川泰弘は、3回に逆転を許したものの、その後は粘り強いピッチングで追加点を許さず、7回に飛び出した代打・飯原誉士の逆転2ランでチームトップに並ぶ3勝目。前日の石川の力投に「勇気をもらいましたし、間違いなく刺激になりました。勢いをいただけたと思います」と口にした。
月が変わった5月1日の巨人戦(神宮)も、これまで好投しながらも勝ち星に恵まれなかった原樹理が、2回には自ら決勝打となる逆転の2点二塁打を放つなど、待望のプロ初勝利。これで4日連続して先発投手に勝ちが付き、チームも4連勝。借金完済まであと1つとなり、石川が宣言した「スワローズのゴールデンウィーク」が現実味を帯びてきた。
打線は昨季の打点王・畠山和洋を欠きながらも、5月1日現在でチーム打率.280、1試合平均4.4得点(ともにリーグ2位)と、今シーズンも好調。背中の張りで登録を抹消されているその畠山も、既にファームで実戦復帰しており、一軍への合流はそう遠くない。
絶対的な守護神だったトニー・バーネット(現MLBレンジャーズ)とセットアッパーのオーランド・ロマン(現台湾Lamigo)が抜け、再編を余儀なくされたリリーフ陣も、新守護神のローガン・オンドルセクがここまで12試合の登板で無失点、7セーブをマーク。新外国人のジョシュ・ルーキも逆転満塁ホームランを打たれた4月24日の中日戦以外は無失点、3年目の秋吉亮も現在13試合連続無失点中と、「勝利の方程式」の構築も徐々に見えてきた。
成瀬が登録抹消となったことで、ヤクルトは5月3日の横浜DeNA戦(横浜)では山中を中5日で先発に起用する。打線が相変わらず好調で、リリーフ陣も安定してきた今、先週の新垣から始まった先発投手陣の好循環をうまく回していけるか。「スワローズのゴールデンウィーク」がどこまで続くかは、そこにかかっている。