ライオンズ坂田、開眼した「2ストライクからの打撃」。ケガに泣き続けた男、再ブレイクの時
毎年期待されながら、不運な怪我が重なり不本意なシーズンが続いた西武の坂田遼。今季、ようやくレギュラーの座をつかみかけている。
2016/05/01
左のおかわり君というニックネームに違和感
大卒8年目の今季、高い才能を持ちながら不運に泣かされ続けてきた男が、ようやくレギュラーをつかみかけている。西武の坂田遼、今年30歳になる左打者だ。
4月末までの全28試合のうち27戦に出場し、打率.248、2本塁打だが、チーム2位(リーグ7位タイ)の18打点、リーグ6位タイの得点圏打率.333と勝負強さが光っている。
坂田が高い打撃技術を示したのが、4月30日にヤフオクドームで行われたソフトバンク戦の第1打席だった。相手先発の千賀滉大がフルカウントから投じた7球目、内角147kmの厳しいボールに対し、窮屈なスイングを強いられながらも巧みに回転してライトのホームランテラス(ラッキーゾーン)に運んだ。
「球が速いピッチャーなので、コンパクトに振ろうと打席に入りました」
坂田が周囲から期待されるのは、こうした長打力や本塁打だろう。入団2年目の2010年、ミニブレイクのきっかけになったのが、7月に6本塁打とスタンドインを繰り返した印象が強いからだ。
そうして付いたニックネームが、“左のおかわり君”。だが本人は、当時から違和感を覚えていたという。
「たまたまホームランがポンポンと出たけど、自分でも(打てた)理由がわからない感じでした。それで、(ファンやマスコミから)ホームランを期待されるようになりましたね。体型もあって」
確かに178cm、90kgと、どっしりしている。しかし坂田自身が追求してきたのは、ヒットの確率を上げることと勝負強さだった。
「大学時代はホームランを打つようなバッターではありませんでした。だから、“おかわり君”とか気にしたことはないですね。自分は中距離バッター。ホームランはあくまで結果的なことで、打てたらいいなというくらいです、ホント。まずは打率を残さないと、僕は試合に出られないので。理想としては、打点を稼ぐバッターになりたいです」
今季、オープン戦からいい状態をキープし、追い求める打撃を見せつつある。最大の要因は、何よりグラウンドに立ち続けていることだ。
昨季までの坂田は結果を残し、期待されては故障を繰り返してきた。
しかも、その内容があまりにも不運だった。2013年は走塁時にヘッドスライディングをして左肩を脱臼。続く2014年はイースタンリーグ前の練習中にフェンスに激突してまたしても左肩の脱臼で、手術もあって入団以来初の出場試合ゼロ。翌年の2015年は打撃の状態が上がらないまま、15試合の出場にとどまっている。