ライオンズ坂田、開眼した「2ストライクからの打撃」。ケガに泣き続けた男、再ブレイクの時
毎年期待されながら、不運な怪我が重なり不本意なシーズンが続いた西武の坂田遼。今季、ようやくレギュラーの座をつかみかけている。
2016/05/01
日本ハム戦で見せた一打
たとえば4月5日に行われた日本ハム戦の4回、先制点が入った直後に左中間へタイムリー2塁打を放ち、リードを3点に広げている。
相手先発の吉川光夫が投じた初球は、外角144kmストレートがやや甘くなって打ちごろだったが、手を出さなかった。アウトコースは待っていなかったからだ。
続く2球目、内角高めのボール気味に146kmのストレートが来ると、「手を出しちゃったかなという感じ」で空振りする。待っていたコースに来ただけに、ボールゾーンの球に手が出てしまった。
ここで、坂田は狙いを変える。
3球目は外角低めに142kmのストレートがボール。そして4球目、外角高めのスライダーにうまく身体を残し、逆方向への長打としたのだ。
「外のスライダーが絶対来ると思っていたので、それを待って打てました」
この第2打席で内容のあるタイムリーを放つと、8回の第4打席には気分良く入って今季1号本塁打を左中間スタンドに突き刺している。
「ホームランが欲しいと思っていたところで打てて、自信になりました。久々に一軍で打てたので。打席では余計なことを考えずに、タイミングに合わせるだけを考えています」
入団してからここまで、坂田にとって納得のできないシーズンが続いてきた。だが、そんな中で積み上げてきたものがある。経験を活かし、どこまで打率と打点を高めることができるか。
長丁場をフルに戦うことができれば、“左のおかわり君”ではなく、遅咲きの左打者=坂田遼としてファンの記憶に刻み込まれるはずだ。