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音楽も野球も同じ。メインに対抗するものがあるとシーンが盛り上がる【音楽と野球 いしわたり淳治さん インタビュー〈#2〉】 

多角的な視点で“新しい野球のミカタ”をお届けする連載「音楽と野球」。今シーズンのトップバッターは、北海道日本ハムファイターズ応援歌「La La La FIGHTERS」の作詞を手掛けた、いしわたり淳治さん。ロックバンドSUPERCARのメンバーとしてデビューし、解散後は作詞家・音楽プロデューサーとして数多くの作品を世に送り続ける、まさに “ヒットメーカー”だ。そんな彼の野球の見方は独特! 個性光る発想が印象的なインタビューになった。

2016/04/30

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糸井さんが出て行く時は本当に悲しかった

――ここからはファイターズについて、もう少しお聞きします。印象に残っているシーズンはいつですか?

 リーグ優勝した2012年ですね。優勝が決まる1カ月くらい前に「よし、このへんだ」って予想してスケジュールを抑えて、札幌ドームまで行ったんですよ。だけどマジックが2つ残りました(笑)。できれば胴上げを見たかったですね。

 

――その2012年前後の球団の特徴について思われることはありますか? よく「育成型」と言われていますが。

 育成しても糸井さんみたいにいなくなることもありますから・・・・・・。育成型のチームの宿命だと思いますが、出て行かれた寂しさのほうが大きく印象に残りますね。糸井さんが出て行く時は本当に悲しかったですから。ピッチャーからバッターになって、一流になって、年俸を稼ぐようになったらいなくなる・・・・・・みたいな。確かに若手を育てるのはいいことだけど、お金をかけないということでもある。当時、年俸が高すぎるなんて言われていたんですよね。だけど、糸井さんは引き留めてほしいなぁ、でもダメだめなのかぁっていう気持ちでした。

 

――なんかテンション下げちゃいました? すいません(苦笑)。でもチームを去ってしまった選手でも引き続き応援しますよね? あれ!? しませんか? 例えば、広島の新井貴浩選手を応援している阪神ファンは少なくないと思いますよ。

 新井選手は広島から阪神に来て、また広島に戻ったんですよね? それでも応援するんだ!? へぇ、すごい。ピッチャーだったらまだ応援できるかもしれないけど・・・・・・。

 

――え? その違いは何ですか?

 野球が「抑える美学」だからですかね。だって、僕が大谷君を応援していたら敵として糸井選手が出てくるわけですよね。当然「抑えてくれ」って思います。他のチームのバッターは全員抑えてほしいと思いながら見ていますから。

 

――なるほど。そこにも〈#1〉で出てきた「抑える美学」が関係していると。今、名前の出た大谷選手がチームに加わったことは近年で明るい材料ですね。

 はい。その前から斎藤佑樹投手とか、おいしいところを引き当てて「持ってるな」と感じさせるチームでしたけど。それにしても、大谷君は周りの想像以上にすごかったですよね。同じ花巻東高校出身でも菊地雄星投手(西武)みたいに、プロに入ったら苦労するのかなって感じていた人もかなりいたと思うんですよ。「二刀流」なんて言い始めた時にはなおさら。だけど、苦労しなかったっていうじゃないですか。すごいって思います。
 僕は、基本的にスーパースターが好きなので、挑戦者のようなプレーをしている人よりも、抑えて当然打って当然という中で、本当に抑えたり打ったりできる人を見たいんですよ。「自分が持っている力を出して一生懸命頑張るぞ」という顔と、自分をちゃんと保った状態で勝負をしている顔って違うんですよね。

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