星野仙一元監督の名参謀が明かしたヘッドコーチの仕事――選手のみならず、監督の心のケアも【横尾弘一の野球のミカタ】
球団によって監督の下にヘッドコーチを置くケースがあるが、その役割とは何だろうか。かつて日本一の名ヘッドコーチと言われた、星野元監督の名参謀の言葉から考えてみたい。
2016/05/05
ナンバー2といわれるヘッドコーチの存在
「ヘッドコーチって、どんな仕事をするの?」
野球ファンの知人からよく聞かれる。プロ野球のコーチは、アマチュアと比較してチームあたりの人数が多く、職責も時代とともに細分化されている。その中で、「ヘッドコーチ」と聞いただけでは何を担当しているのかイメージしにくいのは確かだろう。
実際、監督の年齢が若い時には指南役として、投手出身の監督の下では攻撃の戦術を練る役割として、ヘッドコーチを置くチームがある。ちなみに、今季の12球団では福岡ソフトバンク、北海道日本ハム、千葉ロッテがヘッドコーチを置いておらず、監督の方針によっては絶対に必要なポジションではないようでもある。
一般的には、チームにおいて監督に次ぐナンバー2と位置づけられ、監督の参謀役と同時に、監督とコーチ、選手のパイプ役も担う。また、中日の落合博満GMは「私自身はヘッドコーチという立場がよく理解できなかった」と前置きしてこう語る。
「チームの成績が芳しくなく、首脳陣の誰かが責任を取らなければならない時、監督が契約年数を残していたりすると、身代わりのように切られる役割という印象が強かった」
そうした理由で、落合が監督に就任した時はヘッドコーチを置かず、その後森 繁和をヘッドコーチにした時は自分と同じ契約年数にしている。
では、ヘッドコーチの本当の役割とは何なのか。中日、阪神で星野仙一監督を支えて「日本一のヘッドコーチ」と評され、63歳で他界した際には惜しむ声が多かった島野育夫は、かつて任務の肝をこう明かしてくれた。