最強の21U侍ジャパンも見たかった――21Uワールドカップから振り返る日本の課題と収穫
第1回21Uワールドカップが幕を閉じた。プロ・アマ混成で挑んだ今大会、日本は準優勝に終わった。
2014/11/22
今大会の選手選考から見る両国の温度差
本調子ではないと感じたり、試合で結果を出せなかった選手は、ゲームセットの後も球場に併設されている室内練習場で打ち込みに取り組んでいた。
また、平田監督が「プロと言ってもファームで鍛えられている選手がほとんどですし、この世代はプロも社会人も大学生も変わらない」と言うように、アマチュア(社会人)から派遣された小島啓民コーチの指導にも熱心に耳を傾けるなど、選手たちからは「もっとうまくなりたい、世界の大舞台で勝ちたい」という強い気持ちが伝わってきた。
そうやって、21U侍ジャパンの24名はプロかアマチュアを問わず一体となって戦っただけに、頂上決戦でアマチュアが主体のチャイニーズ・タイペイに敗れた直後は呆然としている姿が印象に残った。
では、世界一を逃したのはなぜか。
というよりも、なぜチャイニーズ・タイペイが金メダルを手にできたのかに答えはある。
チャイニーズ・タイペイは、8月中旬にはオーバーエイジを含めた代表候補40名を選出し、強化合宿やテストマッチを経てチームを編成した。
国際大会はすべてに優先するという方針だ。
一方の日本は、プロが秋季キャンプ、アマチュアも国内大会とスケジュールが重なっていたため、24名のチームを編成したのが大会直前である。しかも、出場選手選考のプライオリティは日米野球だ。
これを大会にかける意気込みの差とは言いたくないが、台湾棒球協会の関係者からは、こんな声も聞かれた。
「私たちは、この大会に出場する選手が、3年後(2017年)のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でも戦力になれるよう、また7年後のWBCでは主力として活躍できるよう強化しています。日本の場合は、藤浪(晋太郎=阪神)投手や大谷(翔平=北海道日本ハム)投手が日米野球に出場した。同世代の国際大会を経験させるか、国内の親善試合に出場させるか、選手強化に関する考え方の違いでしょう」
表現はソフトだが、痛いところを突かれたとも思う。
万難を排して最強の21U侍ジャパンを編成し、この世代の圧倒的な力強さを世界に示しておくことも、第1回大会だからこそ重視してもよかったのではないだろうか。