「鎌スタドリーム」田宮裕涼、満点すぎる2024年開幕【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#222】
2024年プロ野球のレギュラーシーズンが開幕。ファイターズは開幕戦を、いわゆる開幕1軍当落線ギリギリだったメンバーたちの活躍で勝利した。中でも初の開幕スタメンとなった田宮裕涼が攻守にわたり躍動した。
2024/03/30
産経新聞社
攻守で大活躍の開幕戦
試合後です。興奮冷めやりません。すごい。田宮裕涼やりました。『開幕スタメンマスク」を勝ち取っただけじゃない。大仕事をやってのけた。伊藤大海の開幕勝利を引き出し、先制タイムリー、送りバント、盗塁と走攻守三拍子揃った自らの持ち味を100パー生かした。感動です。まさに「鎌スタドリーム」。ちょっと順番に語らせてください。
まず「開幕スタメンマスク」のいちばんの仕事はリードなのだ。初の開幕投手を務めた伊藤大海は緊張のためか、初回非常にテンポが悪かった。ロッテ小島和哉がストライク先行で、あっさりハムの攻撃を退けるのに対し、伊藤は追い込んでから球数を要した。ファウルで粘られ、1つのアウトを取るのに汲々とした。「初の開幕投手&初の開幕捕手」のバッテリーなのだ。あそこで崩れてしまう可能性だって十分あった。
だけど、苦労しながら初回を何とか0で抑え、次の回からはテンポアップさせた。初回のモタモタ具合では5回もたなかったと思う。球数がグッと減り、6回101球、被安打4、無失点の好投を引っ張り出したのだ。殊勲の第一はこの好リード。
評判の「裕涼ビーム」は発揮する場面がなかった。ロッテが盗塁を企図しなかった。これは(走者自体、少なかったのだが)田宮の強肩が聞こえていて、抑止力になったと思う。つまりリードだけじゃなく、見えない形で伊藤を助けていた。
打の殊勲シーンにも触れておこう。3回無死一、三塁からセンターへ先制タイムリーだ。これは出来過ぎ。見ていて泣けてきた。これまで培(つちか)ってきたものを故郷の大舞台で示して見せた。培ったものという意味では、1球でサクッと決めた送りバントや、見事な盗塁も同様だろう。
この日は水野達稀、奈良間大己、田宮裕涼と下位打線が仕事をした。みんな1軍当落線ギリギリでもがいてスタメンを勝ち取った選手らだ。むしろレイエスの来日初ホームランの方が「豪華景品」というかオマケ感があった。
田宮、これから長いシーズン色々あるだろうけど、粘り強くがんばれ。胸熱だよ。君を見てきてよかった。