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高橋光成の自滅では済まされない、西武が抱える根本的な課題【中島大輔 One~この1回をクローズアップ】

決して状態は悪くなかった。しかし、その時は訪れた。2年目右腕・高橋光に襲った突然の制球難。今回は5月6日の北海道日本ハム戦、6回表をクローズアップする。

2016/05/09

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大野に投じた痛恨の1球

 

 敗れた試合には、必ず勝敗を分けた1球がある。敗戦の悔恨を糧にするためには、なぜその1球が致命傷になったのか、的確に分析することが不可欠だ。

 

 7カード連続勝ち越しがなく、エースの岸孝之が戦線離脱中と手負いの獅子が、単独最下位に転落した5月6日の日本ハム戦。痛恨の逆転負けを喫する要因となったのは、西武が3対2でリードして迎えた6回表、1死満塁で迎えた8番・大野奨太の場面だった。

 

 ここで先発の高橋光成は初球、スライダーが抜けて押し出し死球を与え、同点に追いつかれた。

 

「(死球は)力みとかもあるし、しっかり直していきたいです」

 
 高橋光がそう振り返ったこの1球が引き金になる。続く西川遥輝の2球目に暴投すると、3塁走者に勝ち越し点を奪われたのみならず、自身がベースカバーに入った本塁ではコリジョンルールにより2塁走者にも生還を許した。その後、西川に見事なスクイズを決められ、陽岱鋼、中島卓也と二者連続四球で高橋はKOされている。

 

 試合後、責任を負って肩を落とした高橋だが、なぜ自滅する結果になってしまったのだろうか。

 

 2、3回に1点ずつ失う不安定な立ち上がりだったが、4、5回は三者凡退で切り抜けた。とりわけ5回には1死から中島を外角いっぱいの148kmのストレートで見逃し三振に仕留めるなど、球数を重ねるにつれ状態を上げてきた。

 

 5失点することになる6回だが、先頭打者の中田翔は143kmの真ん中高めストレートでセカンドへのファウルフライと力で仕留めている。続く近藤健介にはシュート回転した145kmのストレートをレフト前にはじき返されたが、これは開かずに引きつけて打ち返した相手を褒めるべきだろう。

 

 続くレアードにはサードに強い当たりを打たれ、中村剛也がファンブルして1、2塁。これを捕球していれば、併殺で切り抜けた場面だった。とはいえ、野球にエラーはつきものでもある。

 

 迎えた浅間大基には2球目、外角を狙った147kmのストレートが真ん中に入り、レフト前安打。意図より甘く入ったのは事実だが、投げミスは誰にでも起こり得る。

 

「浅間のヒットまでは仕方なかった?」と高橋に聞くと、右腕の見解は一緒だった。

 

「浅間も抑えなければいけない場面だったんですけど、打たれたのはしょうがない。その後に何とか、どんな形でもいいので、抑えようとは心がけていたんですけど、デッドボールとワイルドピッチということで」

 

 高橋が自滅したのは事実だが、高卒2年目、19歳の投手が重圧を背負ってマウンドに立ったことは想像に難くない。前日のオリックス戦では序盤に先発の十亀剣が崩れるなど、チームの先発陣は総じて苦しい状態にある。昨年8月に4勝を挙げて月間MVPに輝いた高橋が高い能力を誇るのは間違いない一方、まだまだ発展途上の投手だ。高橋に今季初黒星がついたものの、彼一人に敗因を求めるべきではない。

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