高橋光成の自滅では済まされない、西武が抱える根本的な課題【中島大輔 One~この1回をクローズアップ】
決して状態は悪くなかった。しかし、その時は訪れた。2年目右腕・高橋光に襲った突然の制球難。今回は5月6日の北海道日本ハム戦、6回表をクローズアップする。
2016/05/09
継投ミスにあった背景
6回の場面について、同様の質問を潮崎哲也ヘッド兼投手コーチに投げかけてみた。
まずは浅間のヒットについて「あそこは仕方がなかった?」と聞くと、「うん」と力なく返ってきた。続けて大野への死球について尋ねると、潮崎コーチが振り返ったのは高橋の投球内容についてではなかった。
「ちょっと、替えどきが難しかった。俺のミスだね」
高橋が崩れ出した場面について、その責任を自問自答していたのだ。その表情は、放心状態だった。
結果的にベンチの継投ミスも敗れる一因になったが、4、5回の高橋が状態を上げていたのは事実だった。潮崎コーチもそう見ている。
「(4、5回は)良かったから、(その後の回も)そのままの感じでいくのかなと。ちょっと……じっくり考えたわけではないけど、失敗したかな」
高橋が5回を投げ終えた時点での球数は88球。ここで牧田和久を投入する選択肢もゼロではないが、今季ここまでの登板イニング、この試合の残り回数を考えると、交代に踏み切るのは難しい。何より、5回の高橋は素晴らしい投球だった。
では、大野に死球を与えた場面で牧田に代えるべきだったか。あるいは、同点に追いつかれて迎えた西川の打席で、武隈祥太を投入するべきだったか。いずれの継投策も考えられるが、続投ミスというのは結果論だろう。
それでも結果が問われるのがプロの世界だから、潮崎コーチは責任を負った。それは、男らしい姿だった。