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高橋光成の自滅では済まされない、西武が抱える根本的な課題【中島大輔 One~この1回をクローズアップ】

決して状態は悪くなかった。しかし、その時は訪れた。2年目右腕・高橋光に襲った突然の制球難。今回は5月6日の北海道日本ハム戦、6回表をクローズアップする。

2016/05/09

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野上中4日起用が物語る、層の薄さ

 

 ただし、周囲が考えるべきはその先や背景だ。

 

 現在、西武の投手陣は先発、ブルペンともに駒が足りていない。右足内転筋の負傷で戦線離脱した岸、さらに野上亮磨はシーズンのこの時期から中4日で投げ、ブルペンの牧田、武隈はフル回転している。序盤戦の嫌な流れを払拭したいとはいえ、このツケがシーズン終盤に回ってくるのは明らかだ。

 

 6日の試合前、新コーチ人事の発表があった。小野寺力2軍マネジャーが2軍投手兼育成コーチに就任し、森慎二2軍投手兼育成コーチが1軍投手コーチ(ブルペン担当)に昇格。ブルペンを見ていた土肥義弘コーチがベンチ入りし、潮崎コーチをサポートしていく。この決定について、鈴木葉留彦球団本部長はこう説明した。

 

「投手陣が弱い。意思疎通できていないところがあった。コーチを増やして、タッグを組んでやってもらう」

 

 投手力アップに手を打つべきなのは間違いないが、この人事はどこまで効果が出るだろうか。そう思うのは、現在の西武が小手先で解決できないような問題を抱えているからである。

 

 エースの岸はまだしも、決して勝ち星が伸びていない野上を中4日で起用するのは、先発の駒が2軍にも見当たらないからだろう。ブルペンにも戦力的に必要な枚数が足りていない。その原因はドラフト戦略や育成、外国人の補強にある。

 

 投手力不足に加え、守備のミスも深刻だ。5月6日時点でのチーム失策数はリーグワーストタイの32(オリックスと同数)、日本ハムと楽天は最少の12、ソフトバンクは14。セリーグで最悪の中日は23だ。比較してみると、西武とオリックスのミスが際立つ。

 

 西武の場合、今季はとりわけイージーミスが失点に結びつき、それが敗因となる試合を重ねてきた。エラーは仕方ないとはいえ、それで片付けていい数とは言えないはずだ。

 

 こうして見ていくと、6日の日本ハム戦で単独最下位に沈むきっかけとなった大野の死球には、さまざまな伏線がある。高橋や潮崎コーチが責任を感じるのは当然とはいえ、二人だけに背負わせるべきではないのだ。

 

 なぜ、今季の西武は敗戦を繰り返しているのだろうか。根本にある原因をチーム全体として重く受け止めなければ、今の深刻なチーム状態を抜け出すことはできない。

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